―― 馮小剛・莫言 ――
今回は中国のテレビの話です。といっても、ニュースとスポーツの中継以外、あまりテレビは観ていないので碌な話はできないのですが……。
日本では、大晦日の夜は家族そろってNHKの『紅白歌合戦』ですね。中国でも大晦日の夜は家族そろって中央テレビ(CCTV)の『春節晩会』です。大晦日といっても中国の大晦日は、「春節」と呼ばれる旧暦の正月の大晦日です。歌あり、コメディーあり、漫才あり、手品ありのこの『春節晩会』。始まって三十年、ずっと評判がよかったのですが、ここ数年は演ずる方の「馴れ」と観る方の「飽き」が高じて、一年一年観客離れが目立っています。
頭を痛めた中央テレビの関係者は打開策として監督陣の更迭を打ち出しました。これまでは総監督はじめほとんどの監督は中央テレビ内部の人が当たっていたのですが、来年から外部から人を招くことにしたのです。そして、総監督に選ばれたのは、日本の北海道でロケをした『ねらった恋の落し方』の監督で、中国の売れっ子映画監督・馮小剛さんでした。
馮小剛さんは記者会見で次のように話していました。
「こういう仕事をしたことのないわたしを選ぶとは、中央テレビの関係者の肝っ玉の大きいのには、驚きましたね。わたしは『こてんこてん』に罵しられる覚悟はできていますけど」
「大晦日の夜は、みんながゆっくりと楽しく過ごすひととき。遊びとでもいうか、明るい見せ場がなきゃ。まあ、番組の審査にあたるお歴々、おてやわらかにお願いしますよ」
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