わたしはこの風景にいささか感動しました、こんな山奥にまでと。そして、サッカー、バスケットボール、卓球を中国の三大国民スポーツとした冒頭の独断、まんざら間違いじゃないなと思いました。また、この中国の三大国民スポーツが、民衆の体位向上・健康増進の面で果たしている役割に敬意を表するのでした。
さて、この辺で話のレールをちょっと切り替えて見ましょう。中国の国民の三大スポーツ、世界一の卓球以外のサッカーとバスケットボール、とりわけ国際舞台でサッカーが弱いことには、民衆の間でかなり強い焦りと不満の声があがっています。「中国のサッカーはなぜ弱いのか」というテーマの論議が新聞やテレビでもよく聞かれます。こうした論議のなかで中国のサッカーのナショナルチームのコーチをしていたドイツ人のシュラプナーさんはいつも「ウサギになるな、ヒョウになれ」と中国チームを励ましていました。中国のファンたちは「中国はサッカーの発祥の地なのに」と嘆いています。
サッカーのルーツがどこかは定かではありませんが、中国のサッカーの歴史が長いのは確かなようです。中国ではサッカーのルーツを五、六千年前の中国の伝説上の帝王黄帝にまでさかのぼるのが通説です。その昔、中国ではサッカーに似た遊びを「蹴鞠」といっていたのですが、前漢末の学者劉向(前77~前6年)の『別録』のなかには「蹴鞠」は黄帝がはじめたものだと記されています。劉向の記載によると、黄帝のころの「蹴球」は軍隊を訓練するためのものだったようです。でも、劉向の生きた前漢(前206~25年)のころには、すでにサッカーは民衆の娯楽になっており、このころ書かれた『塩鉄論』には、ちょっとした村にはサッカー場があってサッカーを楽しむ人の姿が見られたと書かれています。ボールは皮で造られていましたが。皮の中には空気ではなく、何か軽い物体入っていたようです。
ボールに空気を入れるようになったのは唐(618~970年)の時代からで、宋代(960~1279年)では「斉雲社」とか、「丹社」とかいったプロのサッカーチームが誕生していました。
お仕舞いに、中国のサッカーに寄せるわたしの期待を記しておきます:①10年以内にアジアの強豪に仲間入りする。②10年以内に中国で世界選手権大会を開く。③20年以内に世界の強豪に仲間入りし、世界選手権大会で1回ぐらい優勝する。④4年ごとに各省クラスの代表チームが出場する全国高校サッカー大会を開き、これを百年堅持する。きっと、ここから中国ナショナルチームの中核となる選手が多数誕生するだろう。
以上と同じ内容の提案を十年前にも出しましたが水の泡。そこでもう一回、この場を借りて改めて記しておくことにしました。2013年から数え始めて下さっては……。
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