次は首相の温家宝さん。中国のテレビの全国ネットでは東京の代々木公園でジョキングを楽しんだあと、居合わせた太極拳愛好者の輪に仲間入りしてゆっくり体を動かしている姿が映されていました。
また、上智大学のグランドでここの野球部員とキャッチボールやトスバッティングをしている姿が映しだされ、驚きました。温さんが野球をするなんて、まったく初目、初耳だったのです。
数日後に届いた『朝日新聞』には、バッティングをしている温さんの写真がでていましたが、なかなかいいフォーム、記者の「ボールを巧みにとらえて広角に打球を打ち分けていた」ということばが添えられていました。
ところで、中国の野球人口は最近いくらか増えているそうですが、まだまだきわめてきわめて少ないといえましょう。こうしたなかで、温家宝さんはいつ、どこで野球を身に付けたのでしょうか。アトランタオリンピックで銀メダルを獲得した中国のソフトボールチームの監督で野球事情にくわしい李敏寛さんに聞いてみました。李さんは、こう話してくれました。
「多分、母校の北京地質学院(現在の北京地質大学)在学中でしょう。温さんはこの大学を1965年に卒業していますが、あのころの北京地質学院は野球がずば抜けて強く、いつも全国一でした。きっとここで野球に触れたのでしょう。ひょっとすると、高校時代からかも知れません。温さんは天津の人でしょう。あのころ天津にはやはり野球がずば抜けに強い高校が数校ありました……」
胡錦涛さんの鋭いスマツシュ、温家宝さんの巧みなバッティング……、それに温かい笑顔と拍手を送る日本の人たち、中国のテレビから流れるこうしたシーンを観ながら、わたしも笑顔を浮かべ拍手を送っていました。中日両国民は仲良く付き合っていかなければならないし、きっとそうしていけるとつくづく感じるのでした。そして、メディアのOBの一人として、メディアがこうした面ではたす重い役割をつくづく感じ、メディア人は常に平和友好を念頭において仕事をしていかなければいけないなとつくづく感じるのでした。
|