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春天来了!

 春が来た、春が来た、どこに来た……。

 着ましたね、春が。四川汶川大地震の大地にも、東日本大震災の大地にも。中国にも、日本にも……。

 南宋(1127~1219年)の詩人眞山民(生没不詳)は、その五言律詩「新春(xinchun)」の尾連でこう書いています。

 

 「東風」は春の風、「厚薄無く」はえこひいき(依怙贔屓(えこひいき))無く、「衡門」はどの家の門にもといった意味、つまり春は依怙贔屓なく、どの家にもやって来るといった意味でしょう。

 ありがたいことですね。もしも春さんが好き嫌いが激しく。嫌いな人のところに行きませんよなんてことになったら、それこそ「天下大乱」、たいへんなことですよ。

 北京の『新京報』という新聞に、春という字の解字がでていましたので、切り抜いておきました。下図がこの記事です。じっくりご覧になってください。

 この記事によると、春という字のキーワードは「屯」という字で、これに、いろいろお化粧して、現在の春という字が生まれたというのです。「屯」という字の解字は、固い土を破って芽を出すということ、つまり春なのです。ちなみに日本の学研の『大漢和字典』にも、そう書いてありました。

 中国四川の汶川大地震の大地にも、日本の東日本大地震の大地にも、春の訪れとともに、もろもろの草が力強く芽を出してくれていることでしょう。お目出度いことです。数年、数十年後にはこうした大地は青晴らしい緑に覆われることでしょう。春は「無厚薄」なのですから……

 

おしまいに眞山民の「新春」の全文を記しておきましょう。

作者のプロフィール
 李順然、中国国際放送局(北京放送)元副編集長。著書に『わたしの北京風物詩』『中国 人、文字、暮らし』『日本・第三の開国』(いずれも東京・東方書店)などがある。
紹介した内容
☆ 話・はなし・噺・HANASHI~第二回
☆ 話・はなし・噺・HANASHI~第一回
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