シンクロナイズスイミングの中国ナショナルチームを指導する井村雅代さん
橄欖球・花泳・羽毛球
第二十七回
前回は中国サッカーの話をしましたが、中国語のサッカーは漢字で「足球」と書きます。そのものズバリですね。「手球」と書くとハンドボール、これもそのものズバリ。
今日は、スポーツの種目の名称を教材にして中国語のレッスンをしてみましょう。前回も出てきたバスケットボールは「藍球」、日本語でも「籠球」と書くことがありますが、いずれもカゴ、でも中国語の「藍」と「籠」は発音も意味もちょっと違います。前者は「ラン」と発音し買い物カゴなど、後者は「ロン」と発音し鳥カゴなどの場合に使われています。前回でてきた卓球は「乒乓球」、発音は「ピンパンチュウ」で、ピンポンからの音訳でしょう。
以前、このコーナーで中国の温家宝首相は野球ファンだと書きましたが、野球の中国語は「棒球」です。きっとバットから来たのでしょう。ベースボールの直訳「壘球」はソフトボールのことです。ホームランは「本壘打」、日本語からの移入でしょう。
球技の名称は、その用具の形から命名されたものが多いようです。ラグビーは、ボールの形がオリーブに似ているところから「橄欖球」、橄欖はオリーブでのこと、アメリカンフットボールは、「美式橄欖球」、美は美しいではなくアメリカのことです。中国語ではアメリカは「米国」ではなく「美国」なのです。ホッケーは、スティックの先が曲がっているところから、「曲棍球」、バトミントンはそのシャトルコックから「羽毛球」。「花泳」、はてこれはなんでしょうか。「花泳ぐ」、シンクロナイズド・スイミングです。詩的ですね。ロンドン五輪で中国は銅(デュエット)と銀(チーム)を獲得しましたが、そのヘッドコーチは、かつて日本チームを指導した井村雅代さん、井村さんありがとう!
そういえば、海を越えて中国に来て、中国の選手を手取り、足取りで指導してくれた日本人は少なくありません。野球の長嶋茂雄、王真治、稲尾和久……、サッカーでは岡田武史、女子バレーボールでは大松博文、周恩来総理は大松監督の指導ぶりにすっかり惚れ込み、夫人の鄧頴超さんと一緒に大松夫妻を食事に招いて感謝したそうです。ちなみに、バレーボールの中国語は「排球」、日本と同じですね。
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