―霾や胡同霞て山水画―
天壇公園&玉淵潭公園
張紅さんの絵「天壇に映える日本の桜」、1972年の中日国交正常化を記念して日本から贈られた桜は、その後東の天壇公園から西の玉淵潭公園に移された。日本の桜は天壇の土に馴染めなかったのだ。
玉淵潭公園はもともと皇室の御苑、敷地の半分が池という水に恵まれたここの土は、日本の桜と相性がよかったようだ。ここに、しっかりと根をおろし、枝を伸ばし、毎年の四月に満開の桜で市民を喜ばしている。これに誘われるように、国の内外から桜の苗木が玉淵潭公園に届けられ、二千本以上の桜の園となり、北京の名所になっている。
―いろいろの人思い出す桜かな―
百花斉放 百家繚乱
四月の北京では、もろもろの花が一斉に咲き出す。三月から咲き続けている桃や杏の花、白木蓮のあとを追うように、ライラック、海棠、藤...,そして月末には牡丹と、文字通り「百花斉放、百家繚乱」だ。このページに張紅さんは四月の花の道案内である桃と杏の花を描いてくれた。
こうした四月の北京の花暦にも、年々新顔が姿をみせている。海を越えてやってきたものもある。前述した日本の桜もそうだが、この桜と人気を争っているのはオランダのチューリップだ。チューリップで有名なのは、天安門の西隣にある中山公園で、ここは、明清王朝の時代に皇帝が春と秋に国の安泰と五穀豊穣を祈ったところだ。園内には樹齢数百年のコノテガシワが千本以上植えられている静かな公園である。この古色蒼然とした公園の一角に、四月になると赤、白、黄色のチューリップがぱっと鮮やかな花を開くのだ。
中山公園の牡丹も有名だ。東洋の花の王様牡丹と西洋の花の王様チューリップが、四月の北京で一堂に会してその艶やかさを競うのである。ちなみに、中山公園の中山は、中国革命の先駆者として知られる孫中山の名から取ったものだ。
―もろもろの花咲き笑う弥生かな―
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