春は三月、軽やかな風、白い帆、藍(あお)い川の流れ、紅(くれない)の桃の花、翠(みどり)の柳の並木。タイトルの陽湖は江蘇省の常州のこと、ここから張問陶の隠居先である蘇州は運河で結ばれていたようだ。ここに船を浮かべての作品だろう。 起句の「五」と「三」、転句の「百」と「千」という数字の遊びも楽しい。書画に秀れた張問陶ならではの一首。 惜しいかな、張問陶は隠居後わずか二年で亡くなっている。五十歳だった。もう少し長生きしていてくれれば、風光明媚の江南(楊子江下流南岸)の景色を詠った秀作を沢山遺してくれたことだろう。
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