六月一日は中国の「子供の日」、漢俳では中国の小学生の作品を選んだが、「子規を聞く」は子規十一歳の時の作品、いわば処女作で、子規自身が編んだ『漢詩稿』の冒頭に収められており、題名の下に「余詩を作る、此れを以って始めと為す」と記されている。行間に天才のひらめきが感じられる。 清末の大学者兪樾(1821~1907年)は『東(とう)瀛(えい)詩(し)選(せん)』で「日本の江戸時代の漢詩は明の七子と轡(くつわ)を並べるほどだった」と絶賛している。明治に入ってからも、夏目漱石(1867~1916年)のように『坊ちゃん』、『吾輩は猫である』といった日本文学の名作を残す一方、漢詩の秀作を書いていた人も少なくない。 昨今の日本では漢詩を観賞する人は多いが、創作に挑戦する人は少ない。中国人が漢俳(漢風俳句)の創作を楽しんでいるように、和風漢詩の創作に挑戦する人が増えればいいなと思う。きっと和の香り漂う美しい和風漢詩が生まれることだろう。
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