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選者のプロフィール
 李順然、中国国際放送局(北京放送)元副編集長。著書に『わたしの北京風物詩』『中国 人、文字、暮らし』『日本・第三の開国』(いずれも東京・東方書店)などがある。
前書き

 漢詩は、ときにはわたしを励まし、ときにはわたしを慰め、ときにはわたしの心を洗い清めてくれる。訓読の訳文に加えて、素人のまったくの「遊び」だが、和漢折衷の自己流の戯れ訳を添えてみた。日本の歌人の名訳を添えた詩もある。読んでいただければ嬉しい。

選者のひとこと

 以前にも、「折り折りの漢詩」というコーナーで、この詩を紹介したことがあるが、二月末となるとどうしてもこの詩の登場となる。なにか、作者が二月末の北京の胡同を散策しているような気がしてくるのだ。このころの北京の胡同散策で詠んだ拙句を二、三書き記しておこう。

 老い猫が日溜まりに伏せ胡同番
 春近し小枝膨らむ胡同かな
 梅の香かふと足とめる胡同かな
 一尺大街わしも胡同と胸を張る

 *一尺大街とは筆墨、書画、古書などの老舗が並ぶ琉璃厰から北京の浅草といわれる前門に抜ける楊梅竹斜街(胡同)の一角にある長さ三十メートル足らずの北京でいちばん短い胡同だが、「一尺大街」と胸を張って名乗っている。北京っ子のユーモアが感じられる。この辺は、わたしの好きな散歩道だ。

 載益のこの詩を、仏家の悟り示すものだという説もある。幸せははるか彼方ではなく、身のすぐ近くにあるというのだ。

紹介した『私の漢詩歳時記』

・わたしの漢詩歳時記ー二○一二年三月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー二○一二年三月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー二○一二年二月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー二○一二年二月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー二○一二年二月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー二○一二年一月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー二○一二年一月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー二〇一二年一月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー十二月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー十二月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー十二月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー十一月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー十一月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー十一月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー十月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー十月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー十月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー九月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー九月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー九月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー八月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー八月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー八月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー七月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー七月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー七月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー六月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー六月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー六月上旬
・わたしの漢詩歳時記ー五月下旬
・わたしの漢詩歳時記ー五月中旬
・わたしの漢詩歳時記ー五月上旬

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