<杭州料理>
杭州料理の代表選手といえば、「東坡肉(トンポーロー)」。豚の三枚肉を煮込んだもので、日本でもおなじみです。
|
東坡肉 | 「東坡肉」の調味料は、氷砂糖や醤油、ねぎや生姜など。水の代わりに紹興酒を入れて、土鍋でコトコトと弱火で煮ていきます。
柔らかく、ほのかにお酒の香りがきいた「「東坡肉」。脂っこそうに見えますが、けっこうあっさりして美味しいです。
「東坡肉」の名前の由来になっているのが、杭州ゆかりの北宋時代の詩人・蘇東坡(そ・とうば/中国語読みはsu dongpo)です。
蘇東坡が杭州の役人だったころ、杭州にある湖「西湖」の治水整備を行いました。これにより、周囲の田んぼでは、1年を通じて水量が安定するようになりました。農業をするうえで、これは非常に良いことで、農民たちは蘇東坡へ感謝の気持ちを抱きました。農民たちは年末、豚肉や酒を持って蘇東坡を訪ねました。たくさんの豚肉をもらい、蘇東坡はさっそく家来に料理させました。ぶつ切りにし煮込んだものを、農民たちに食べさせました。農民たちは非常に喜びました。彼らは蘇東坡を慕って、この料理を「東坡肉」と呼んだのです。
その後、当時、杭州にあった大きな料理屋がこの「東坡肉」の評判を聞き、店で作って出してみたところ、その店は大繁盛。朝から晩まで客が途絶えることなかったといいます。こうして徐々に「東坡肉」が広まり、杭州の代表的料理となったのです。
「東坡肉」のほかにも、杭州にはおいしいものがたくさんあります。特に、西湖と関わる名物料理が有名です。例えば、西湖で採れる蓴菜(じゅんさい)を使ったスープ。蓴菜は、杭州のお土産としても売られています。あとは、西湖で取れる魚料理(あんかけなどが有名)や、肉の蓮葉蒸し、龍井茶と蝦の炒め物なども、杭州でよく食べられているメニューです。
|
|
蓴菜 |
西湖魚 | 一般的に、杭州料理は「さっぱりした味」「新鮮さ」「柔らかさ」が特徴と言われています。寧波料理と紹興料理とともに、浙江料理と呼ばれていて、この浙江料理は中国の八大料理の一つになっています。杭州は昔、南宋の都でした。それゆえ、北方から多くの名コックが集まり、杭州料理は発展していったといいます。杭州は、景色が綺麗なだけではなく、美味しい料理も味わえる場所なのです。
<杭州のお土産>
先週ご紹介した龍井茶のほか、有名なのはシルクです。
杭州は「シルクの里」とも言われています。江蘇省や、広東省、湖南省、四川省などの地方は桑や蚕が多くとれ、シルク製品が特に豊富です。そのうち杭州シルクは最も有名なもののひとつでしょう。
一説には、春秋戦国時代からシルクが作られていたと言われています。唐の時代には、宮廷の貢物とされていたそうです。1000年ほど前から、東南アジアやアラビア諸国へ輸出されるようになり、シルクロードを渡って世界各地へと運ばれていきました。「杭州の半分は西湖で、もう半分はシルクでできている」という言葉もあるほど、杭州の産物としては非常に有名なものなんです。
西湖の湖畔には「中国シルク城」があります。絹織物や絹製品を扱う専門店が600軒あまり建ち並ぶ、中国最大の専門市場です。中国のみならず、世界各国の企業との取引が行われています。全長100メートルにもおよぶショッピング街もありますので、観光客も気軽に買い物を楽しむことができます。壁掛けやテーブルクロス、クッション、スカーフ、ネクタイ、小物など、さまざまな製品が揃っています。
また、おもしろいものではハサミが有名です。杭州のハサミは「張小泉」というブランドで、300年以上の歴史があります。国内外に名前が知られており、「ハサミのナンバーワン」と呼ばれています。清の皇帝も愛用していたということで、品質も最高です。
|