天安門の南、前門(ぜんもん)付近にある大柵欄(だいさくらん)通りの両側には、漢方薬、お茶、チャイナドレス、靴、漬物、レストランなどの老舗が並んでおり、お土産を買うにも、北京の下町の雰囲気を味わうにも最適な場所といえます。
大柵欄の名前については、清の時代、街を取り囲むように大きな柵があり、夜間にはその門が閉められていたからという説が有力なようです。
●漢方薬・竜骨(りゅうこつ)から二大発見
大柵欄のほぼ中央に位置し、根本治療を目指している漢方薬の老舗・同仁堂では、まず問診を行って、ひとりひとりにあった漢方を調合してくれます。
ここで売られている漢方「竜骨」は、漢字のルーツといわれる「甲骨文字」、そして「北京原人」の発見につながったと言われています。
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店内のカウンター | 1899年、北京の考古学者が持病を治すため、万病に聞くといわれる竜骨を買い求めました。その表面にナイフで刻んだ小さな文字のようなものがあり、弟子とともに詳しく調べたところ、当時知られていた文字よりさらに古い時代のものだとわかりました。竜骨は、4千年近く前の殷(いん)の時代、占いに使われていた動物の骨の化石だったのです。
またそれから30年後の1929年、当時北京市西南部の周口店では、竜骨が沢山採掘されており、この山で、北京原人の頭蓋骨が発見されました。
このように漢方薬・竜骨は、中国の考古学上の2つの大発見の元となってのです。現在同仁堂で売られている竜骨は、動物の骨の化石で、煎じて飲みます。風邪、めまい、精神安定などに効果がある万能薬です。
● 肉まんの名店「狗不理」(ごうぶり)
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「狗不理」肉まん | 天津に本店のあるこの店。「狗も相手にしない」という意味の店名は、以前店主の名前(あだな)だったのが、いつの間にか店までこの名で呼ばれるようになったことに由来します。せいろで出てくる包子は、肉の味もしっかりしており、セットでも13元(200円未満)で食べられます。このほか北京ダックも手ごろな価格でお勧めです。
大柵欄には、このほかお茶の「張一元茶荘」「天福茶荘」。この時期は新茶が出回っています。
チャイナドレスの「瑞 祥(ルイフシアン)」(注文するなら時間の余裕をもって。ドレスは1万円くらい~) 。伝統的な靴を売る「内聯昇」。 常時100種類以上の漬物を扱う「六居必」など、見所はつきません。
● 北京っ子の娯楽を楽しめる「老舎茶館」
最後に訪れたのは、中国の著名作家・老舎の代表作「茶館」にちなんでつくられた老舎茶館です。お茶と伝統菓子を食べながら、北京の伝統曲芸、京劇、雑技、民族音楽などを楽しむことができます。料金は60元~160元(日本円で800~2,000円ほど)で、毎日午後と夜7時40分から開かれています。いつも人気の場所なので予約したほうがベターです。
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茶館の玄関 |
茶館内の舞台 | 【行き方】大柵欄へは、地下鉄2号線「前門」駅で下車し、南に歩いて10分ほど。老舎茶館は同じく「前門駅」を出て、西に歩いて6分ほどです。
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