元の時代、イタリアの旅行家マルコ・ポーロが「最も美しく、最も華麗な大都会」と絶賛した、杭州(こうしゅう)の街をご紹介します。
<交通機関>
杭州といえば、最近、日本から飛行機の直行便が出るようになりました。成田空港からは、日本航空が週5便、全日空が週4便。関西空港からは、日本航空が週2便、全日空が週3便。杭州までは、大体3時間前後。いずれの便も、お昼には杭州に着くので、便利です。上海からも180キロほどしか離れていないので、列車やバスで行く人のもよし。大体1時間半くらいで行くことができます。
<気候>
杭州は、浙江省の省都。浙江省は日本の気候とよく似ており、温暖です。観光しやすいと思います。
<歴史>
杭州は、2200年の歴史を持つ古都です。すでに隋の時代、この一帯は「杭州」と呼ばれていました。唐の時代になると商業都市として発展していき、12世紀から13世紀の南宋の時代には、南宋の都として最盛期を迎えました。当時の中国では、杭州は最大の都市だったといいます。そういうわけで、杭州には今も、多くの名所旧跡が残っているんです。
<みどころ>
?「西湖(せいこ)」
西湖は、杭州の西側に広がる天然の湖です。大きさは南北が3.3キロ、東西が2.8キロあります。湖の周辺は距離にして15キロ。西湖の周辺にはお寺や庭園などもあって、非常に風光明媚な場所です。「西湖」という名前をつけたのは、北宋時代の詩人・蘇東坡(そ・とうば)と言われています。蘇東坡は、この湖の風景をこよなく愛し、詩(うた)にも詠んでいます。
晴れた西湖は、美人西施の厚化粧。
雨降る西湖は、美人西施の薄化粧。
晴れも良し、雨も良し。
|
西湖 |
「美人西施」というのは、古代中国の絶世の美女。西施が厚化粧でも薄化粧でもきれいなように、西湖は晴れの日でも雨の日でも絶景だ、という感じでしょうか。
また、西湖には遊歩道がありますから、時間があればゆっくりと湖にそって歩いてみてください。湖の西側にある遊歩道は、蘇東波の名前から一文字とって、「蘇堤」という名前がついています。また、湖の北側の遊歩道は、もうひとりの西湖ゆかりの人物・白居易の名前にちなんで「白堤」と名づけられています。白居易は、「長恨歌」で有名な唐代の詩人です。彼は杭州の地方官を務めていたことがあるんです。
|
|
蘇堤 |
白堤 | ちなみに、この「白堤」のいちばん端に、1本の橋がかかっています。橋の名前は「断橋」。中国の伝説「白蛇伝」の舞台になっている橋です。白蛇の精と青蛇の精が四川省の峨眉山で修行をしていましたが、下界に憧れて、人間に化けて人間界へとやってきます。その2人がこの「断橋」のほとりにさしかかると、急に雨が降り出します。雨宿りしているところに、許山という人物が通りかかり、美しい女性に化けた白蛇の精に傘を貸す、というシーンがあるんです。
この「断橋」のほかにも、西湖周辺は絵になる風景がいっぱいです。季節を問わず、心やすらぐ水の風景が楽しめます。
?龍井茶の古里「龍井村」
杭州へやって来る観光客のあいだでは、郊外にある「龍井村」で本場の龍井茶を飲む、というのが人気だとか。市内から車で20分くらい。茶摘を体験させてくれる農家も数多くあります。茶摘と釜炒り、龍井茶の試飲がセットになって、大体150元くらいで体験できます。あとは、美味しい龍井茶を出してくれる茶館もたくさんあります。「龍井茶」の名前の由来は、龍井村にある「龍井泉」という井戸。なんでも、清朝の皇帝・乾隆帝が、「この井戸水で淹れたお茶が最も美味しい」と絶賛したんだそうです。
さて、中国には「十大名茶」というのがありますが、そのトップに立つのが龍井茶。すっきりした味わいと香りが特徴です。良いものから順に、「特1級」「特2級」「1級」「2級」「3級」とランクわけされています。
このほか、龍井村の近くには「中国茶葉博物館」というのがあります。龍井村に行けば、きっと中国茶に詳しくなれると思います。
|