蒙頂山は四川盆地の雅安市の名山県にあり、雅安市から15キロ離れています。四川省は中国がお茶を栽培する最も早い地区の一つです。四川省のお茶には、一番有名なのはこの蒙山茶です。
蒙頂山は昔蒙山と呼ばれ、8世紀の唐の時代から中国の最後の封建王朝・清の時代まで、蒙山茶はずっと皇族に貢ぐお茶の一つです。中国の民間では "陽子江の水、蒙山頂上のお茶" という諺があります。ここの陽子江は中国南部の江蘇鎮江金山寺にある中冷泉を指しています。この泉の水が古くからとっても有名で、お茶を入れるのに最もふさわしいと言われています。
紀元前53年、"お茶の祖先"と呼ばれる西漢の呉理真が蒙頂山で野生の茶の薬用効能を発見してから、蒙頂山で7本の茶木を植えました。伝説によりますと、千年を経っても、この7本の茶木は枯れず、葉っぱが細くて長いし、それで入れたお茶は清らかで甘いです。
早速茶の畑へ見に行きましょう。月日の経つにつれて、山の石坂がつるつるようになりました。この石坂を沿って歩き、身が茂っている竹に囲まれて、気持ちがすっきりとなってきました。しばらく歩くと、視野がぱっと明るくなりました。山間の霧がだんだん消え、太陽に照らせて、遠いところにあるじくじくしたお茶の木々がピカピカ光っています。その前には竹で作った籠を背負っている農民が茶の畑で働いています。農民達は、働きながら代々伝えてきた茶を摘む歌を歌っています。
摘んだ葉っぱはそばの工房に運ばれます。工房にはお茶のにおいが漂っています。ここで、手でなべの中の葉っぱを焙じこなしている農民の姿が見えました。
その中の一人であるホウ明秀さんに会いました。彼女は19歳からここで茶の木を栽培したり、茶を焙じたりして、今まで既に30年の経験を積んできました。茶の焙じ方についてホウ明秀さんいろいろ教えてくれました。
「私達は伝統的な作り方で茶を焙じています。必ず乾いた炭で焙じなければなりません。なぜかと言えば、乾いた炭は匂いがなくて、お茶のにおいに影響しないんです。それから、お茶が他のにおいを吸い込む能力を持っていることから、お茶を焙じる時、絶対化粧することができません。私達の茶園は海抜1400メートル以上の高い山にあり、ここの霧と雨が多く、虫の害がなくて、一度も農薬を使ったこともありません。」
蒙山茶がグリーン飲み物とも言えるでしょう。それから、お茶が発酵されるかどうかによって、蒙山茶は緑茶と黄色いの黄茶に分けています。"黄芽"は黄茶の最高級品です。春になると、茶園で僅かの茶木が芽を出した時、農民は葉っぱを摘みます。この時の葉っぱが一番新鮮で、春の息も含んでいます。これらの葉っぱが厳しく加工されてから有名な"黄芽"となります。
ところで、蒙頂山では茶飲みのいいところがあります。それは天蓋寺です。寺といえば、普通仏や、観音、羅漢などを祭っていると思われていますが、この天蓋寺には呉理真や、お茶の製造技術を改造した北宋時代の雷簡夫、及び世界の初めてのお茶に関する著作を書き上がり、"茶の聖人"と呼ばれる陸羽が祭られています。そして、寺の壁には蒙山茶の歴史や伝説などが書かれています。
寺の庭園には、茂っている10数本のイチョウがあります。イチョウの下に竹で作った椅子があります。そこでお茶を味わいながら、遠く離れた山を眺めて、昔を偲ぶ気持ちが自然に出てくるでしょう。
ここで使った茶碗は手のひらぐらいの大きさです。お茶を飲む時、左手に茶托を載せて右手で茶碗の蓋を取ります。蓋で表に浮いている葉っぱを払ってから、お茶を一口啜ったらにおいが口に溢れます。
ここでお茶を飲む時、特別な規則を守る必要があります。例えば、お変わりの時に茶碗の蓋を机に置いて結構です。暫く離れる時、蓋を椅子に置くことを忘れないでください。そうしたら、他の人はあなたの椅子に座らなくて、店員達もあなたが使った茶碗を片つけません。
ここのお茶を入れる師父の技術は本当にすごいです。師父たちは一メートルのつぎ口のある急須を高く挙げてお茶を入れます。お茶が空から流れてくるように茶碗の中に入っていきます。茶碗の縁までいっぱいいっぱいまで注がれ、でも一滴もこぼれていません。
お茶を飲みながら、農民にお茶に関する学問を伺うことはいい休み方だと思います。
蒙頂山旅行関係情報:飛行機で四川省省都の成都に到着してから、市内のバスで直接名山県に着けます。そのあたりの宿泊料は一日80元です。もし、農家に泊まればもっと安いです。食事料金を含めて一日は30元で十分です。蒙山茶の価格は一キロ数十元から数百元まで種類によってそれぞれ違っています。
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