南潯(なんじゅん)は、杭州がある浙江省湖州市にあります。蘇州からバスでいきますと2時間かかります。
潯は、水辺という意味で、名前通り、南潯は、太湖という湖の南岸に位置しています。古くから自然に恵まれ、米が豊作で、魚などもよく獲れるところですが、明の万暦時代から清の時代の中期ごろまでは、経済が繁栄し、特に生糸の生産は、盛んでした。生糸とは、カイコのまゆからとった繊維数本をそろえ、繰り糸にしたままで練らないものです。シルクの布を作る材料でもあります。
二百年前、南潯は、最盛期を迎え、当時、シルク生糸の卸商売を経営する店舗が 50 軒を超えたそうです。生糸の貿易によって、この土地は、豊かになり、大金持ちがたくさん生まれたということです。
地方では、「4象8牛72条黄金狗」という言い方がありますが、当時の人々は、84人の富豪のことを、財産の多少によって、名付けたものです。この富豪たちは、造園に大金を費やし、わずか3平方キロの街で、いまでも20以上の造園が残されています。
南潯の街は、川が多くて、まるで町を織るように縦横に分布しています。道路は川に沿って遠くまでのびていて、あらゆる家屋は、川に臨んで建てられています。もちろんいたるところに橋を見かけます。
お店の店頭は、小さくて、木製の玄関に紅い提灯がぶら下がっています。昔ながらの情緒があふれています。町の人々は、この美しくて静かな町を見守っていくため、できるだけバイクを使わないことにしているそうです。
こんなところに行けば、疲れが取れて、気持ちが落ち着いてくるでしょう。
南潯の見所:
1)嘉業堂藏書楼。藏書楼って、沢山の本が収集されたところです。劉承幹という創始者は、1920年より建て始め、四年後に完成したものです。清の時代の宣統皇帝から賜った額から、「嘉業」、(よい事業)という意味の名前を付けました。蔵書は宋の時代から明、清の時代までの書籍60万巻を超えたそうです。また、木版は3万以上残されているということです。
2)崇徳堂、張静江旧居、張石銘旧宅など。当時の富豪たちが住んでいた家も見逃せないところです。昔の人は、お金さえあれば、まず惜しみなく、住まいに費やします。敷地面積や規模、装飾など、いろんな面で最高なものを求めていました。伝統な中国式ではなく、ヨーロッパ式も取り入れています。
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嘉業堂藏書楼 |
百間楼 | 3)百間楼。こういう伝説があります。
『400年前のことだそうです。董家という大家族のところに、地方の名門、茅家の娘さんを嫁ごうとしていました。しかし、茅家からは、董家の家が広くないと文句が出、董家に「100人のお使いがいるので、住む所はないでしょう」と伝えました。すると、董家は、「大丈夫。すぐ百軒の家をつくります」と返事し、さっそく、お使い一人ずつが一部屋のこの百軒楼をつくったそうです。』
川沿いのこの百軒楼は、一部が壊され、百に足らないですが、一つの部屋が独立しながら、つながっているので、かなり壮観です。400年経った今も人が住んでいるそうです。
4)町内の名園・小蓮庄。清の時代の名大臣劉庸の子孫が 40 余年にかけて、造り上げた 南潯最大の庭園です。別名は、「劉園」。敷地面積は 18000 平方メートルもあります。蘇州の庭園のような風格のですが、夏になりますと、池には、蓮の花が満開になり、格別な趣があります。
一年中、いつ尋ねてもいいんですが、春と秋は景色がいいと言われています。また、南潯にいく方法ですが、蘇州からバスで行くのが一番便利です。
南潯市内の各観光スポットの総合チケットがあり、60元で、日本円にしますと、900円ぐらいです。
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