■中国は大事な食糧供給基地
――日本人は「自分たちが食糧を確保するため、もっと事実をみなければならない」とおっしゃいましたが…
何せ、食糧自給率が40%しかない。日本人は、自分たちが食糧をどこかの国から輸入しなければならないということは知っている。よくて安い食材がないかと海外にもとめてきたのですね。欧州は遠すぎる。安くない、それから、気候が違いすぎて、日本人が好きな野菜にならない。で、一番近くにあるのは韓国と中国。韓国は農地が少ない。中国は四季もあるし、日本人がほしい野菜が全部手に入るんですよ。
――言い換えれば、「パニックは一時的なもので、長期的に見れば、食材の輸出入という総合依存関係が変わらない」というお考えですか。
それを中国が許してくれれば、極端に言うと。中国も百パーセント食料を自給している国ではなく、今ではものを買う国になりました。なのに、よその国に輸出する余裕はいつまであるのかということですね。
――日本の消費者に安心して中国産食品を買ってもらうのに、どのような取り組みが必要と思いますか。
日本の消費者団体にわたしたちが提案しているのは、もし不安があるなら、日本から来て一緒に作るというのはいかがですか。日本にとって、中国は実は一番大事な供給基地のはずです。だから、日本人たくさん来て、ここで働いているんです。これからは、中国政府と日本政府がどうやって食料を日本に確保してもらうかを考えなければならない。
もう一つ考えると、これからの世界は食糧を分け合う時代が必ず来る。世界人口の増加で食糧が足りなくなったら、分け合わなければならない。
食品の安全は大事。だから、世界が一つの基準を作らなければいけない。でないと、世界の食材が世界で流通できないのです。少なくとも、ほしいと思っている日本は、中国、韓国、ベトナム、タイと同じ基準を作らないといかんですよ。もし同じ基準ならば、日本でOKなら中国でも全部買える。これは可能ですし、お金がかからない。
――地域一体化のプロセスとも連動して考える必要があるということですか。
これが一番大事なことです。ユーロ圏では、色んな工夫をしている。朝一番にスペインでトマトがとれました。夕方にはドイツで売れる。貨幣が統一しただけではない。色んな基準や法律を共有したからできるんです。だから、ものが動く、経済が発展する、貿易が盛んになれる。
私は民間の人に過ぎないので、このことを政府の人にいつも言っている。国と国との違いがあり、なかなか進まないが、だから、民間の消費者から運動を起こしたほうが早いかもしれない。
――8月初旬に、日本の消費者代表団が山東省を訪れ、栽培や加工の現場を視察したようですね。
百聞は一見に如かず。実際に来て見てくれて嬉しかったです。専門家がいくら消費者に言っても、自ら行って、この目で見て、直接の現場の担当者と話をしたほうが、実態がよく分かります。それに対して、山東省の品質検査当局のトップが出てきて、丁寧に説明してくれました。だから、日本の消費者代表の方たちも非常によく理解できたと思います。
――最後に、放送をお聞きの日本の皆さんに一番伝えたいメッセージをお願いします。
中国産食品と聞くと不安だと思う方がいれば、実は、これらの食材を長年苦労して作りあげてきたのが日本人で、加工工程の管理をしているのもほとんど日本人なのです。ぜひ(中国産食品のことを)安全だなと思ってほしいです。
(聞き手:王小燕)
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