「おやまあ、かわいい猫だね。昼は私が預かるよ」と祖母は昼間だけは猫を側に置いた。もちろん、餌をやるのは孫の嫁なので、この上の孫は猫に食わせるからといい、自分が台所に入り、魚、海老、肉と野菜をご飯と一緒に煮込み、嫁に食べさせたところ、それがとてもおいしいので嫁は大喜び。嫁はこの家に嫁いできてからこれまで幾らかつらかったが、夫がよくしてくれるので我慢できた。
と、ある日、普段は台所に来ない祖母がその夜、久しぶりにと台所に顔を見せたが、そのとき、上の孫がかのお粥を作っていた。これに祖母は不思議がる。
「うん?なんですか?お前が台所に来て?もう夕餉は終わってるのに、誰にそんなお粥を作ってるの」
これに上の孫は少しあわてたが、すぐにまじめな顔で答えた。
「おばあちゃん。私もおばあちゃんと同じように猫がすきでね。だから餌は自分で作るんだよ。食いしん坊の猫のために作ってるんだよ」
「あら、そうなの。猫に?どれどれ。おお、魚、海老と肉も入ってるね。これじゃあ猫は喜ぶ」と笑って台所から出て行った。こうして上の孫の嫁はこの日もおいしいお粥が食べた。
さて、それから数十年がたった。このときは祖母や二親もいなくなり、上の孫の嫁が祖母となっていた。この祖母は夫の祖母のように息子や孫に厳しくはしなかった。そして五十歳の誕生日を迎えたので、優しい夫は何かうまいものを食べろと勧めた。そこで嫁はむかしのことを思い出し、夫にかの猫の餌として作った粥が食べたいという。これに夫は、息子と孫たちが驚く中を台所に入り、むかしと同じようなお粥を作り、嫁のところに運んできた。
「できたぞ。昔は私のおばあちゃんに隠れて作っていたが、今はその必要がないものな。久しぶりに作ったので味はどうかな?」
これに嫁はにこっと笑って箸と匙を取って食べ始め、「おいしいわ。昔のままの味よ」と涙を流した。
このことが息子の嫁の口から隣近所に伝わり、そんなおいしいお粥なら自分たちも作りたいと、多くの人が尋ねてくるので、夫は微笑んでいる嫁に会釈し、作り方を教えたワイ。
このときからここら一帯ではこのお粥が評判になり、むかしは猫のために作ったというので「猫の子粥」と名づけられた。こうしてこの「猫の子粥」は今も人々に好まれ、客が来たときは必ずでるという。
そろそろ時間です。来週またお会いいたしましょう。
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