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「濡れ衣」(孟簡)

2011-12-15 15:56:29     cri    




















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 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。

 この時間は「逸史」という本から「濡れ衣」、それに「集異記」という本から「母の病」というお話をご紹介します。

 では先に「逸史」という本から「濡れ衣」です。

 「濡れ衣」(孟簡)

 諸曁(き)県の県役人だった包君は、県境付近のいしのすずりと書く石硯(けん)村に住み着いたが、しばらくして遠くにいる豪族から贈り物が届いた。この豪族は包君のことを聞いていて、元の県役人であれば、今の県令などとつながりがあり、自分にとっては使い道があると考えたのだ。その後。うまいものや新鮮な果物を、包君が要らないというのによく包君の屋敷に届けた。ところが、月日がたってこの豪族は包君が自分にとって何の役にも立たないことを知り、これまで物を贈り続けたことを後悔したばかりか、包君を憎みだし、損した分のお返しをと悪いことを考えた。

 数日後、包君の妻が腹を壊し熱を出して倒れた。そこで医者をよんだところ、盅(ちゅう)という虫の毒にやられており、何を食べたのかと包君に聞いた。そこで包君は妻はその日はかの豪族が送ってきた果物を食べたと答えた。そのとき、家の者が、かの豪族の屋敷ではこの盅を飼っていて、これまで多くの人がその毒に当って死んだと話した。そこで包君がどうしようと焦ると、その医者がいう。

 「この盅を飼うからには、解毒の方法をきっと知っているにちがい。だから包さん。奥さんをいち早く豪族の家へ送り、解毒してもらいなさい。さもないとあとが危ない」

 これに包君はもっともだと思い、すぐに舟を頼んで妻を連れて豪族のところに向かった。そして翌日、妻が動けなくなったので、舟が昼ごろ港に着くと妻を舟において自分は岸に上がり、豪族の屋敷に向かった。

 一方、豪族はことを知り、人に中毒させるのを図ったのが自分だということを悟られるのを恐れ、屋敷の下男たちにいろいろと指図していた。

 さて、こちら包君が豪族の屋敷に急いで向かっていると、途中で何人かの棍棒などをもった男が行く手をさえぎった。そして有無を言わせず包君を殴りはじめた。

 また包君の妻が乗る舟には豪族の下男たちの女房ら数人が乗ってきて、船頭に酒を飲まして酔っ払わせてから、周りに誰もいないのを確かめると、なんと妻を舟から引き摺り下ろし髪の毛をつかんで頭を何度も何度も地べたにぶつけたりした。これに体がかなり弱っていた妻は、女たちが去ったあと舟に這い上がったものの、多くの血を流して死んだ。

 で、包君だが、男たちに殴られたあと舟に逃げたが、妻が死んでいるのみて気を失った。しばらくして船頭が酔いから覚め、この様子を見てびっくり。あわてて舟を出し急いで帰途に着いた。

 豪族というと、なんと先手を取り、包君が妻の亡骸を棺に入れていたときに、県令の上役である州の長官李遜の元へいき、包君は県の役人をしていたとき、妻を連れて自分の屋敷にくると、ありもしない罪を着せて自分を捕らえようとし、目をつぶって欲しいのなら金を出せと脅して、終にかなりの金を奪いとっていったと、作り上げた証拠なるものを添えて訴え出た。

 で、長官は李遜といえば、これを聞いて詳しく調べもせず、人を遣って包君を捕らえに行かせた。

 こちら包君は、毒に当たった妻を救ってもらおうと豪族の屋敷に向かったところをわけもわからず殴られただけでなく、妻まで殺されたので、もう我慢がならない、妻を葬ったらすぐ訴えに出ようと思っていたのだ。ところがなんと州の役人が来て、民百姓から金を脅し取ったとして自分を縛り上げたので驚きと怒りに「濡れ衣だ!」と叫んだあと気が遠くなった。

 この日の夜、州の役人独孤はおかしな夢をみた。それは悲惨な姿の女が出て来て、黙って石硯を差し出すので自分は受け取ってしまったのだ。この夢が何の意味かわからず、翌日役所に出てみると、長官の李遜が包君の取り調べを一人でやれというので、さっそく包君を連れてこさせた。

 「お前はなんという?どこに住んでおる?」

 「はい、わたしは包君と申し、諸曁県の石硯村に住んでおります」

 「石硯村とな?」

 「はい、石硯村です。」

 これに独孤は昨夜の夢で哀れな姿をした女から石硯(いしすずり)を受け取ったことを思い出した。そこで包君を中の部屋にこさせ、ことのいきさつ話させた。包君は涙を流しながら、自分が罪もないのにひどいめにあったこと、そして毒に当たった妻が殺されたことなどを詳しく話したので、独孤は包君の妻の顔形や死んだ時の身なりなどをきく。これに包君はくびをかしげながら応えると、独孤はかの女が包君の殺された妻だったということがわかった。こうして包君に同情した独孤は、普段から仲がいい牢獄の下役人を呼んでくると、金を渡して、この包君の面倒を見るよう言いつけ、先に包君を牢獄に戻させた。

 次の日、独孤は包君を訴え出た豪族を呼び出したが、包君が金を脅し取ったという証拠がどうもおかしいので、声高に鋭く聞き糾すと豪族は怖くなり、ついに濡れ衣を包君に着せたことを認めた。そこでまずは、このことを長官である李遜に報告したが、李遜はただ首を横に振り、包君は元県役人を務めたのだと威勢をはり、庶民をいじめたと決め付け、罰として棍棒で五十回叩くよう言いつけた。そして豪族には「これからは気を付けてことを運べ」と叱っただけで家に帰した。

 この裁きに、独孤と他の役人は、おずおずと異議を唱えたが、李遜は耳を傾けない。このことは役所だけでなく外にも伝わり、多くの人が影で長官を馬鹿にするようになった。

 さて、包君の妻の兄は、このことを耳にして焦り、わざわざ州の役所に来てこの裁きは間違いだと言い放ったので長官の李遜は怒り出し、州の裁きを妨げたとして、下役人に棍棒で殴らせ外に追い出してしまった。これにここら一帯の民百姓は驚き李遜をののしった。

 ところで独孤には、親しき友で、若いころから曲がったことが嫌いな孟簡という男が都である職についていた。そして翌年、李遜が不届きやらかしたので、代わって孟簡がこの州の長官となった。そこで独孤は孟簡に、包君とその妻のことを詳しく話した。すると孟簡は、豪族、それに包君に怪我をさせた屋敷の者や包君の妻を死なせた女房たち合わせて十数人を捕らえて牢獄にぶち込んだ。そしてきつい聞き糾しや取り調べを行い、とうとう豪族に罪を吐かせ、ついでにこれまで重ねた罪まで白状させて、数日後に、この十数人をすべて打ち首にしてしまったわい。また孟簡は、妻を殺され濡れ衣を着せらた包君を慰めて金や物を送った。

 これを知った役人たちや町の人々は大声を上げて喜んだという。もちろん、ひどい目にあって体を壊した包君も、これに喜び、翌日は妻の墓の前で大声で泣いたという。

 え?元の州の長官李遜?噂によるとあとでまたへまをやり、役をかなり落とされ、のちに病でなくなったという。

 次のお話です。「集異記」という本から「母の病」

 「母の病」(李楚賓)

 唐の建中年間のこと、河南の李楚賓は狩人をして暮らしていた。李楚賓は腕がよく、いつも多くの獲物を持ち帰った。

 当時、青山というところに童元範という男が住んでいて、母は夜になると苦しみだすという病にかかり、これまでたくさんの薬を飲んだが効き目がない。当時、易者の朱邯が江西に帰る途中、知り合いである童元範の家に寄り、その母の病を治すため占いをはじめた。そしていう。

 「童さん、今日の夕方に道端で待っていなさい。ある狩人が通るから、あんたの母さんの病を治してくれと頼みなさい。その狩人は必ずなんとかしてくれるよ」

 こういうと朱邯は先を急ぐといい家を離れた。そこでその日の夕方に童元範が道端で待っていると、狩人の李楚賓が馬に乗ってやってきたので、童元範はいわれたとおりにした。これに李楚賓は「どうしておいらにそんなことを頼む?」と聞く。

 「実は私の友があんたなら必ずどうにかしてくれると言うので、こうして待っていたんです」

 そこで李楚賓は馬を下りて聞く。

 「ふーん。で、あんたの母さんに病とは」

 「実は、母の病は・・」と童元範が詳しく話すと、李楚賓はしばらく考えたあとうなずき童元範について家に入った。そして病人の様子をみたあと、「わかった」とだけ言うので、童元範は李楚賓を西側にある小屋に泊まらせることにした。

 と、その夜の月はことのほか明るかった。そこで李楚賓が弓矢を手に庭に出てみると大きな鳥が飛んできて童元範の母が寝起きする部屋の屋根にとまり、嘴で屋根を突付きはじめた。すると部屋の中から大きな呻き声が聞こえ、それは苦しそうだった。そこで李楚賓はこの鳥を狙って二本の矢を放ったところ、二本とも鳥に当たり、鳥は不気味な声を出し、どこかへ飛んでいってしまった。すると部屋から聞こえていた呻き声がとまった。これに李楚賓はにっこり笑い、小屋に戻って休んだ。

 やがて夜が明けたので、李楚賓は起きて童元範を呼び起こし、二人で童元範の母の部屋に入っていた。すると母は苦しみから救われたような笑顔で眠っていた。これに童元範は「母の病は治ったんですね」と喜んだ。すると李楚賓は答えた。

 「これで大丈夫だ。これからは苦しむことはないだろう。さ、家の周りを探してみよう」

 「え?何を?」

 「病と苦しさをもたらしたものだよ」

 ということになり、二人は家の周りを探し始めた。すると近くの古木の細い枝に二本の矢が刺さり、枝から血が流れている。これに不思議がった童元範に李楚賓がいう。

 「その枝は化け物が変わったもの。早く折って焼いてしまいなさい」

 そこで童元範はその枝をいまいましそうにへし折り、その場で焼いてしまった。すると李楚賓は「その化け物は病と苦しさをもたらす魔の鳥でね。あんたは知らなかっただろうが、これまで毎晩、あんたの母さんの部屋の屋根に来ては、母さんを苦しめていたんだよ。それをおいらが射殺したから安心しなさい」

 といい、じゃあこれで家に帰るか、お礼なんか要らないよと李楚賓は言い残し、馬を走らせて行ってしまったわい。

 それからというもの、童元範の母は元は病人だったことがうそのように元気になり、しばらくして童元範も嫁を迎え、翌年には男の子を設け、一家は幸せに暮らしたという。

 そろそろ時間です。来週またお会いいたしましょう。

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