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「金の牛」

2011-12-28 10:30:00     cri    

「蓮の花の池」

 延慶県の町から東南に四里あまりのところに村があった。働き者の村人は、近くにある池の水で潤した畑で取れたものを町で売り暮らしていた。

 ある年の秋に大雨が降り、それも四十九日続き、雨水は川のように流れて大水となり、人々は高いところに追いやられた。もちろん、人々は大水がいちはやく引いてくれるよう天に願ったが、かなり経ってからやっと水が引いた。そこで村に戻ってみると、家々は倒れ、近くの砂地は、石や泥をかぶり、肝心の池にはなんと首が長く、馬鹿でかい化け物がいた。最も恐ろしいのは、池に近づく者はみなこの化け物に呑み込まれてしまうことだ。こうして人々はどうしようもなくなり、仕方なくここを離れる人が多くなった。

 ある月、村に一人の鍛冶屋がきて、池から遠くないところに小屋を建て住み着き、吹き子(ふいご)を造り、火を起こして村人たちが野良仕事につかう鍬などを打っていた。で、ある日、鍛冶屋が仕事していると、南の方から幼い子供が走ってきて池の方へいき、そのあとから母親らしい若い女子が追いかけていく。そのとき、池の水が急に泡立ち、爪が生えた大きな三本指の前足らしいものが宙にあがり、母親を捕まえで水の中に消えた。鍛冶屋はこれに驚き、走っていくと子供はびっくりして立ち止まった。そこで子供を化け物から守るため、鍛冶屋は子供を抱いて家の方に走った。

 夜が来た。子供は母親がいないので泣き出した。この鍛冶屋、このときに、この子の母親の敵を討ち、村人たちのためにかの化け物を退治しようと心に決めた。翌日、鍛冶屋は化け物を退治する剣を打つため、村人たちから要らなくなった鉄を集め、なんと四十九日を費やし、やっとその剣を打ち上げた。

 この剣は長さ七尺はあり、その刃は鋭く硬かった。そのときは冬に入り、池は氷が張っていた。数日過ぎた朝、鍛冶屋は縄を腰に巻き、縄の一方の端を岸辺の木に巻き、池の氷を割って剣を手に池に飛び込んだ。もちろん村人たちは岸辺で心配そうにこれを見守っている。

 さて、鍛冶屋が飛び込んだ後、しばらくは何事もなかったが、そのうちに周りの氷がバリバリ割れて沈んでいき、水面には大きな波が立ち、やがてかの化け物の恐ろしい鳴き声が聞こえ、池の水の色が赤くなり、それが化け物の血なのか、鍛冶屋の血なのかわからず、村人たちはただ岸辺で両手を合わせ、鍛冶屋が無事帰ってくるのを祈るだけ。

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