今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、昔の本「劇談録」と「宣室志」という本から三つのお話をご紹介しましょう。
はじめは「劇談録」から「亡霊のいたずら」です。
「亡霊のいたずら」(李潯)
唐の咸通年間、河南中牟県の県役人李潯(じん)は郊外の別荘に住んでいた。李潯はこの世に神や亡霊がいるとは信じない。そして他人が祭りごとをしているのを見ると、必ず怒って止めさせる。
ある日、李潯は不意にめまいがし、それもひどくなったので、床で横になりじっとしていると、このことをどうして知ったのか何人かの男が訪ねてきていう。
「隣近所はあんたが病にかかったというので、こうして見舞いに来たよ」
これに李潯は礼をいい、男たちをみたが、これらのものはいずれも醜く、あるものは片目がつぶれている。李潯は気味が悪くなり、部屋にいた家族や屋敷のものをみると、どうしたことか、家族らはこれらの男が見えないらしく、知らん顔している。これに李潯が驚いていると、一人のせむし男が酒樽提げて入ってきた。そして李潯の前にきていう。
「李さんよ。あんたはわしらを知らないだろうが、わしらはあんたのことをよく知ってるんだよ」
「え?その方らわしのことをよく知っていると?」
「ああ。わしらは亡霊じゃよ」
「なんと?亡霊だと?」
「ふふん!あんたは他の人間が亡霊が出てこないように祈るため、酒や食べ物を供えるのをよく止めたな」
「そ、そうじゃが」と李潯はこう答えて家族たちを見たが、家族たちはどうしたことか部屋の外へ出て行く。そこで李潯は呼び戻そうとしたが、せむし男が、「無駄じゃよ!お前さんの声なら聞こえないよ」というのであきらめた。
せむし男が続ける。
「李さんよ。お前さんはわしらを馬鹿にしとるな」
「な、なにをいう?」
「ま、いいけど。しかし、人間たちがせっかくわしらに供え物をしてくれるのをお前さんが止めたんだ。おかげで酒やうまいものを損したことになる」
「なんじゃ?その仕返しに来たのか?」
「いやいや、そうじゃない」
「では、なんじゃ?」
「ああ、あんたはわしら亡霊なんかいないと思っているんだろ」
「も、もちろん」
「じゃあ、わしらは何者じゃ?」
「し、しらん」
「ふふ!まあいい。今日はあんたにわしら亡霊がいることを教えに来たのさ」
「ええ?」
「こうして酒まで持ってきた。この酒樽は小さいが、たくさん入っているぞ」
「わしは病にかかっておる。酒などいらん」
「まあ、そういわずに飲めや」
ということになり、李潯はせむし男の持ってきた酒を無理に飲まされ、ぐてんぐてんに酔ってしまった。
さて、気がつくと亡霊はいなかったが、酔いが醒めない。そしてそれが続き、一ヶ月後にやっと酔いがさめたわい。それからというもの、李潯は自分も祭りごとに出るようになったワイ。
次のお話です。「宣室志」という本から「酒のおかげ」
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