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魚が嫌いになったわけ

2011-12-28 10:26:08     cri    
 次のお話です。「広異記」から「魚が嫌いになったわけ」

 「魚が嫌いになったわけ」

 泉州晋県の県役人張縦は魚が大好きだが、どうしたことかある日、めまいがしてぶっ倒れた。気がつくと周りは薄暗く、向こうから黄色い服をまとった役人がやってきて、閻魔さまがお呼びなのでついて来いというのでおとなしくついていき、しばらくして閻魔さまの前に出された。

 「おい!その方、何をしておる!この者はわしの言う張縦ではない。もう一人の張縦じゃ。はやく返してしまえ」と閻魔がその役人を叱ったとき、横に控えていた役人がいう。

 「申し上げます。この張縦は魚が好物なので、罰としてしばらくは魚の姿に変えてはどうでしょう?」

 「うん?魚に?そうじゃな。ではそういたせ。が、のちに人間の姿に戻らすのじゃぞ」ということになり、張縦は魚に変わることになった。

 こうして張縦はかの自分を連れてきた役人についていき川に落とされた。すると張縦は一寸ぐらいの魚に変わり、次の日には大きくなり、三日後には二寸あまりになった。

 その翌日のこと。魚になった張縦が泳いでいると漁師が網を張っていたのでこれはいかんと引き返したが、どうしたことか網の方に引っ張られとうとうかかってしまい、舟に上げられた。そこでおとなしくしていると県令の使いが魚をとりに来たので、漁師は一寸ぐらいの魚を数匹渡したところ、使いは怒って漁師をひっぱたいた。そして舟に乗って魚に変わった張縦を見つけ、「この大きいのがいい」と張縦をつかみ屋敷に戻った。

 こうして魚の張縦は、県令屋敷の厨房に持っていかれ、まな板の上で腹を割られて内臓をとられ、大きな包丁でうろこを落とされたが、当の張縦はおかしなことに少しの痛みも感じない。そのうちに張縦は体中が熱くなり、飛び上がりたくなったので、まな板から飛んで地べたに落ちた。途端、魚の張縦はふと消え、とられた内臓もうろこもふと消えた。驚いたのは厨房人で、びっくりしてあたりを探したが、魚は見つからなかった。

 さて、こちら張縦の屋敷だが、この日は張縦が死ん出から三日目だった。葬式が終わり、妻や家族は悲しみ、屋敷の者が張縦のなきがらを棺に入れようとしていると急に張縦が動き出し、声を出して息を吹き返した。これにみんなはびっくり。中には恐ろしくなって逃げ出すものもいたが、当の張縦が落ち着いて話し始め、自分は幽霊ではないといい、棺から出てゆっくり歩き始めた。これに妻や家族は安心して大喜び。そしてみんなが落ち着いてから、張縦は閻魔のところへ連れて行かれ、そのあとは魚になったことなどを話した。

 翌日、屋敷の主が生き返ったので、それを祝うため多くの料理が作られた。もちろん。厨房人は主の好物を知っているので、この日は大きな鯉の料理もだされたが、当の張縦は以前とは違って魚を見ただけで嫌気がし、魚料理を下げさせた。そしてそれからは釣りもやめ、魚は一切口にしなかったワイ。

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