「その方が、ここの長官か!」
「はは!去年、地元のお勤めに付いたばかりでございます」
「そうか。いや。今度は忍びでやってまいったのじゃ。そちが知らんのはあたりまえ。もう立ってよいぞ。迎えご苦労であったな」
「いえいえ!とんでもござりませぬ」
そして乾隆帝は今度は土下座している店の亭主にいう。
「ああ。亭主や、もう立ちなさい。こちらが黙って店に入ってきたまでのこと。朕の身分は、この横におるものだけが知っているのじゃ。知らぬものに罪なしと昔からいうじゃろう!」
「は、はい。では・・」
「もうよい、もうよい。で、朕はもう怒ってはおらん。よいか!かの朕の世話をした小者たちを罰してはならんぞ」
「は、はい。ありがとうございます」
「しかし、よく言い聞かせるのじゃ。身なりを見て人を馬鹿にするのはよくないとな」
「はは!、わかりましてございます!」
「なにしろ。お前の店の料理はうまい。これからもこの味をまもっていくのじゃぞ」
「はい。この味を守ってまいります」
こうして乾隆帝は上機嫌になり、またも供であるかの男に三つの金塊を褒美として主に渡させ、微笑みながら店を離れ、蘇州の長官が用意した駕籠に乗って行ってしまったという。
このときから「松鶴楼」の主は、表に「乾隆帝が好む、蘇州一番の料理」という意味のことを書いた大きな看板をかけて、自分の店の「松鼠黄魚」を大いに売り込んだので、このときから「松鶴楼」の「松鼠黄魚」の名は瞬く間に広がり、蘇州一の料理となった。実は、その後も乾隆帝は蘇州に二回ほど来た時に、必ず「松鶴楼」に寄ってこの魚料理を食べたものだから、「松鼠黄魚」は蘇州の名物料理になり、今でも続いているワイ!
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