今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
今日のこの時間は、食べ物のお話です。
みなさんは「豆腐乳」をご存知ですか?主な材料は豆腐ですか、それを加工して出来たもので、そうですね、日本でいうと梅干や漬物のような食材です。
作り方は、これはデータをみたんですが、、適当に切った豆腐にカビを生えさせ塩漬けにし、お酒、麹と香辛料などからなるもろ味に漬け込み発酵させるというもの。でも出来上がるまで時間がかかります。で、商品の色によって赤、白と黄色のものがあり、わたしなどは主には赤いものをおかゆなどと食べます。で、日本の沖縄にも似たようなものがあり、紅(べに)豆腐と呼んでいるそうですね。中国では多くのところでこの「豆腐乳」がありますが、なかでも名勝地である桂林のものが有名です。ではこの桂林の「豆腐乳」のお話です。
題して「カビの生えた豆腐」です。
「カビの生えた豆腐」(桂林豆腐乳)
いつのことかはっきりわからん。南にある桂林近くの四塘にある横山村に豆腐屋があった。豆腐屋といってもごく小さな店で、夫婦と娘の三人は毎日、朝早くから豆腐を作ってはそれを売って過ごしていた。この店の豆腐は真っ白な上にふわふわとやわらかく、それに味もいいので、ここら一帯では評判よく、いつも売り切れであった。
と、年の初めの日、昼前に豆腐を売っていた。すると遠くで誰かが大声で何かを伝えているので、どうしたのかと通りがかりの人に聞くと、桂林一帯では名の知れた、歌がとても上手な劉姉さんが、いまから広場で村人に歌を披露するという。劉姉さんの歌がとても好きな夫婦は、これはなんとしてでも聞かないと、次はいつになるかわからんと、娘を連れ店を閉めて広場に向かった。
そしてこの日から劉姉さんは、ここに来るのは久しぶりで、村人に自分の歌を沢山聞いてもらおうと、村に泊り込み、なんと五日間続けて歌をうたい、村人たちを大いに喜ばせた。
こうして六日目に夫婦と娘はやっと店を開けたが、数日前に売りはじめたばなりなのに、劉姉さんの歌が聞きたいため売るのをやめて残ってしまった豆腐を思い出した。そして入れ物を開けてみると、なんと豆腐にはカビが生えており、これじゃあ売り物にならんと父はいくらかがっかりした。母の方は、劉姉さんの歌を久しぶりにたっぷり聞いたので、そんなことには耳を傾けず、また興奮している。これに父ははいくらか頭に来て、カビの生えた豆腐を全部捨ててしまおうと言い出した。しかし、父が横目で睨んでいるのもかまわず、せっかく苦労したので捨ててしまうのはもったいないとといい、買ったばかりの大きな甕にこれらカビの生えた豆腐を並べ入れて塩と地元のうまい酒を沢山ばら撒き、蓋をし裏小屋にしまっておいた。
で、次の日からまた忙しくなり、三人はカビの生えた豆腐のことなどすっかり忘れてしまった。
さて、その年は日照りで、作物は多く獲れなかったが、それでも役所は、民百姓の暮らしなどかまわず、いつものように年貢を納めるよう求めた。こうして人々の暮らしにいくらか困るようになり、豆腐を売れ行きも落ちてきた。そこ豆腐を作っても余る日が多くなり、一日作る豆腐の量はいつもの半分に減らさなくては損するようになった。ある日、父が豆腐を作る釜の前でため息ついていると、娘が年の初めにカビが生え売り物にならなくなった豆腐を甕に入れて裏の小屋にしまったことをふと思い出した。
「ねえ。父さん、裏小屋にしまった甕の中のカビの生えた豆腐、覚えてる?」
「ええ?あ、あの売り物でなくなった豆腐のことか?あんなものしまっておいても何にもならんぞ。あのときにカビが生えたんだから、今頃は腐ってしまってるよ。早く捨ててしまいな。さもなきゃ、あの甕にくさい匂いが付いて使えなくなるぞ」
「そうかしら。あれ以上痛まないように、母さんと一緒に塩やお酒を入れといたんだけど」
「馬鹿なことしたもんだ。塩と酒がもったいないのに」
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