乾隆帝、料亭で怒る
さて、この時間は、中部は江蘇地方の蘇州に伝わる、清の乾隆帝と料理にまつわるお話をご紹介いたしましょう。
蘇州は古い庭園があることで知られていますが、地元には多くのおいしい料理があることも忘れていはいけません。清の時代にここには「松鶴楼」という料亭があり、その「松鼠(そ)黄魚」は看板料理だったらしく、この「松鼠黄魚」ですが、そうですね。日本では、イシモチ(海の魚)の丸揚げ甘酢あんかけというらしいですね。
では、今日は清の乾隆帝について地元に伝わるお話をご紹介いたしましょう。題して「乾隆帝、料亭で怒る」
清の時代のこと。時の皇帝乾隆帝が長江以南の地方をまわり、この日は護衛もつれずに私服で蘇州の町にやってきた。というのは乾隆帝は若いときから武術の心得があるからで、自分ひとりで大丈夫がと思っているのだろう。時は三月、ここら一帯は木々は緑に光り、花は咲き鳥が鳴き、人々は郊外に遊びに出かけて、それはのどかであり、空気も気持ちよかった。
で、乾隆帝はいくつかの景色をのんびりとながめ歩いたのでいくらか疲れもし、腹も減っていた。そこで腹ごしらえにうまいものを出す店を探していたが、まもなく「松鶴楼」という料亭の看板が眼につき、「うん?なかなかよい名前じゃ」とこの店に入った。この店はかなり繁盛しているらしく、中の作りはかなりいい。実はこの日、店の主は母の誕生日祝いをし、奥の大きな部屋では幾つもの卓に母と親戚や友人たちが座り、それは賑やかであった。またそれ以外の客もかなり入っていたので、店は忙しかった。乾隆帝は自分はお忍びなので隅のあいている席に座ったが、注文を聞きに来た店の小僧、乾隆帝の靴にいくらか乾いた泥がついているのを見て、こいつは田舎のものだと馬鹿にし、人を見下げるような声で聞く。
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