■中間層の台頭と近づいてきた「日本」
中国の都市部では、中間層の拡大と所得の向上につれ、「日本」がどんどん身近な存在になっているようです。
「スマートシティ」の展示エリアでは、日系メーカーの浄水器を代理販売している張さん(29歳)に出会いました。代理先の企業が出品しているため、その様子を見にやってきたと言います。「予想以上の人出でびっくりしました」と張さんは驚きを隠しませんでした。
張さんの話によりますと、彼らが代理販売している浄水器は中国に進出して9年ほど経ちますが、売り上げが年々拡大しています。上海市場だけでも、年間売り上げ1000万元以上にまで膨らんできました。中国では中間層の拡大に伴って、生活のクォリティを重視するようになり、飲料水の質へのこだわりが高まっていることが背景です。そのため、1台1300~1400元の浄水器でも普通に受け入れられるようになっています。
また、"70后""80后"が親になってから、子供教育の分野にも静かな変化が起きています。幼児用絵本がそれを象徴するものの一つですが、やはり、そこにも「日本」が活きていました。
3年前に大学を卒業し、現在は絵本出版社に勤務する郭さんは、会社を休んで来場しました。
「絵本が中国に現れたのはまだ最近のことです。私たちが手がけた外国の翻訳版絵本には、宮西 達也の作品を始め、日本の絵本もたくさん含まれています。日本文化を見たり体験したりするのは、仕事にも役立ちますので、上司に『行きたい』と言ったら、すぐOKしてくれましたよ」
郭さんは独学で日本語を学んでいて、時々片言の日本語の単語を交えてインタビューに答えてくれました。彼女によりますと、絵本の値段は1冊25元~40元しますが、都市部の"70后""80后"世代の親は惜しまずにどんどん買っているということです。
「今のところ、わが社の手がける翻訳絵本のうち、日本の絵本は3割ほどを占めており、数では欧米よりは少ないですが、同じ東洋の国なので、描かれている絵とストーリーはとてもやさしくて、子供と親たちに好評です」
■日本の災害復興 期待される中国の活力
展示会に出展した各都道府県は、いずれも観光資源を紹介するパンフレットを用意しました。JNTO(日本国観光庁)のブース付近に設置された棚には、昼過ぎになると、配布資料がほとんど全部消えてしまったほどの賑わいぶりでした。
北海道や沖縄にとりわけ多くの問い合わせが殺到していたようです。上海駐在の北海道経済交流室の田邊弘一室長は、「皆さんすごく関心をもっていて、反応に驚いています。もともと北海道を知っていて来た人もいるし、新しい情報を求めてやってきた人もいます。出展していて、手ごたえを感じています」、と興奮した顔でした。
一方、今年1月半ばから、北京と週4便の直行便で結ばれている沖縄県は、昨年9月から、沖縄観光を条件に中国人個人観光客向けのマルチビザの発給が始まりました。関係筋によりますと、これまでの約半年間で、全部で1万件以上のビザが発給されたということです。
この7月に北京事務所の設立を目指す沖縄県の平良友嗣さん(北京事務所設立準備室室長)は、「日中国交正常化40周年は沖縄返還40周年の年でもあり、新しいスタートを切りたい」。また、中国人向けの沖縄ウェディング観光を含め、中国からの観光客誘致に意気込みを見せてくれました。
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