「春運」とは、春節・旧正月前後の旅客運輸体制のことです。今年の春節を挟んだ40日間、帰省客によるバス、鉄道などの交通機関利用回数は過去最高の延べ31億5800万回に上る見通しだということです。
家に帰るため、列車やバスのチケット争奪戦に悩む人が少なくないんですが、そういう人たちは「春節帰省恐怖族」と呼ばれています。
ある民間協会は北京、上海、広州など6大都市の人々に対し、里帰りするかどうかアンケート調査を行ったところ、約70%の人が「帰省列車の切符確保が大変だ」「遠過ぎる」などの理由を挙げ、里帰りをためらっていると答えました。一方、ミニブログ(中国版ツイッター)でも同じ話題の書き込みが殺到。「なぜ帰省に恐怖を感じる?」という質問に、8つの選択肢があり、それぞれの割合は以下の通りです。飲み会合戦―疲れる(8.16%)、帰省ラッシュにストレス―恐怖(10.19%)、親に結婚を急がされる―窮屈(8.8%)、交際費がかさむ―面倒くさい(14.65%)、懐が寒い―メンツが立たない(25.56%)、出世してない―恥ずかしい(18.67%)、休暇後の仕事復帰が憂うつ―つらい(7.77%)、その他(6.2%)。
日本も中国も年末年始に多くの人びとが帰省のために移動するのは共通です。昔はやはり大変だったみたいですけど、新幹線と飛行機が全国をカバーしてきたので、大分、楽になったみたいです。それに比べると、中国の旧正月は日本よりはるかに激しい混雑が見られますが、その原因はやはり中国の国土の広さと人口の多さがでしょう。日本の新幹線はほぼ全国を走っており、ラッシュピーク時に新幹線は1時間に11本も運行しており、前後の列車間隔は4分しかない。まるで北京や上海の地下鉄のように便利です。このようにして列車数を増やし停車駅を減らすことで、より速く効率よく運行できるようにしているわけです。
帰省ラッシュのピークに向けて、2012年に中国鉄道部は3つの新たな仕組みを導入しました。1つ目は切符購入の際の実名使用、2つ目は切符の電話購入、3つ目は切符のネット予約です。こうした措置は旧正月に帰省する人、特に、駅で長い行列に並んで切符を購入する時間がない人にとっては朗報でした。
1月1日から7日までの1週間、チケット購入サイト(12306.cn)の1日当たりアクセス数が10億件を超えたことが判明し、「瞬間的に『世界一』のアクセスを記録したということです。
広州、成都で1年間実験的に列車チケットの実名制を実施して、大きな成果を挙げたということです。そこで、鉄道省はついに全国的に列車チケットの実名制を実施しました。従って、今回の春運の今までとの大きな違いはダフ屋がチケットを入手できなくなったことです。
全国的に列車チケット実名制を導入した後、効率と管理という二つの難題に直面することになりました。乗客がチケットの購入や改札をする時に身分証明書の提示を求められるので、チケットの販売時間が長くなり、乗客の待ち時間も長くなったことです。
問題は、実名制を実施しても、別にチケットの数が増えたわけではないので、今までは窓口で買えなければ、最後の手段でタブ屋から買えたんですが、今年はこの手もなくなりました。
この間の番組でも紹介したように、直接故郷へ帰らず他都市を経由する「遠回り帰省」も話題になっています。中には北京市から雲南省昆明市に帰るため、飛行機でタイのバンコクへ出国し、空路で戻るというビジネスマンも現れ、賛否を呼んでいました。中には、400キロを徒歩で6日間かけて「里帰り」する大学生が現れました。徒歩での里帰りを実行したのは、江蘇省蘇州大学の3年生李森林さんとその友人。2人は14日午前400キロ先の同省塩城市にある実家を目指して蘇州を出発しました。出発早々冷たい雨に見舞われながらも1日50キロメートル以上のペースで歩いた2人は、19日午後には塩城市内に入りました。
家族と一緒に春節を迎えることは、中国人にとって特別の思い入れがあります。春運を如何にスムーズに処理できるか、如何に乗り切ることができるか、政府にとって大きな問題です。
先進国にもまだある帰省ラッシュのように、農村から都市へ、地方から大都市への長年の人口移動の結果、中国における壮大な帰省ラッシュはまだまだ続くはずです。
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