王生は仕方がないのでそのままにしておくと、数日後の葛布の値はどんどん下がり、にっちもさっちも行かなくなった。どうしようとおろおろしていると、持ってきた葛布をもっと安くしてはやく全部売らないと大損になるというので、王生は仕方なくそうした。こうして葛布は全部売れたが、銀十何両という損が出てしまった。そこで王成は泣きべそをかき、翌日村に帰ることにした。ところが、その夜、なんと有り金が全部が盗まれてしまったではないか。そこで王成ガこのことを宿のオヤジに告げると、オヤジは知らないという。するとほかの客がオヤジを訴えろという。しかし、正直な王成は、これはオヤジにはかかわりがないと言ったので、感激したオヤジは銀五両を出して帰りの路銀にしろと渡した。このときの王成は、これではあのおばあちゃんに会わす顔がないと悔やみ、飯も食わずに町をうろうろしたいたところ、闘鶉(とうしゅん)、つまり、雄のヤマウズラ同士を戦わせる賭けをしていた。人に聞くと一羽のヤマウズラは銅銭で数百枚するという。考えた王成、宿に引き返してオヤジにこのことを話したところ、オヤジはヤマウズを仕入れてを売ってみろと勧め、ここに泊まっている間の宿賃は要らないという。そこで王成はオヤジからもらった銀五両を使って郊外でヤマウズラを買ってきたのでオヤジはいち早く売ってしまうよういう。ところがその夜、またも大雨となり、翌日も降ったので王成はその次の日をまったが、なんとその夜に籠の中のヤマウズラがどんどん死んで残りわずかとなり、しばらくすると一羽だけが残った。これに王成は涙を流して宿のオヤジにことを告げたが、オヤジは残念がるばかり。これでおしまいだと王成はいっそのこと死ぬと言い出したのでオヤジは懸命になだめた。こうして二人は残った一羽のヤマウズラを見たが、オヤジはこのヤマウズラは強くて、もしかしたら、王成の知らぬ間に他のヤマウズラを突付き殺したのではないかという。このヤマウズラの目はらんらんと光り、動きがすばしっこい。
「王成さん、どうせのことだ。このヤマウズラで賭けてみなさい。もしかしたら大儲けになるかも」とオヤジが言うので王成は試してみることにした。
翌日、王成はそのヤマウズラを懐に入れ、かの闘鶉の場所にいき賭けたところ、三回勝ち続け、なんと銀四枚という金が入った。喜んだ王成、宿に戻りことを告げるとオヤジも喜んだ。こうして王成は数か月のうちに数十両の金が入り、オヤジが要らないというのを無理に宿賃と飯代を払ったので、オヤジはこれからは宿賃は取らないからと王成を裏の部屋に寝泊りさせた。
さて、都には闘鶉が三度の飯よりも好きだという皇族がいた。この皇族は普段はもちろん、祭りやなんかの日になると必ず屋敷で友や親戚だけでなく、強いヤマウズラを飼っている庶民まで呼んで闘鶉を楽しむ。これを知っている宿のオヤジは王成にいう。
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