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「王成とキツネ祖母さん」(王成)

2011-11-24 15:24:41     cri    

 王成は、祖父がキツネが化けた女と暮らしたことがあると死んだ父から聞いていたので、このばあさんの話を信じ、家に来るよう誘った。そこでばあさんは王成に付いて行った。こうして家に着いたので、王生は妻を呼び、祖母が来たから挨拶せよという。ばあさんの方は、王成の妻の身なりを見て驚いた。

 「あらまあ、なんだい?当時はかなり派手に暮らしていた王柬之なのに。孫の家もボロだし、嫁さんもみずぼらしいなりしてるね、かわいそうに」

 こういうとばあさんは勝手に家の中に入り、何も食べ物がないのみて「王成、何を食べて生きているんだい?」と聞くと妻が泣きだした。そこでばあさんはかのかんざしを妻に渡し、これを質に入れて米を買いなさいといい、三日したらまた来ると言い残してどこかへ行ってしまった。

 そのあと、王生は妻にこのばあさんが誰であり、実はキツネだと打ち明けると、妻は震えだしたので、大丈夫だからと慰めた。

 さて、三日後にばあさんが来て、何枚かの銀貨を王生に渡し、米と麦を買ってこさせ、夜は妻と一緒に寝た。もちろん、ばあさんの正体を知った妻は怖がったが、ばあさんが優しいので安心した。

 翌日、ばあさんは王生にいう。

 「王生や。お前、商いでも始めな。でないと生きていけないよ」

 「でも、おばあちゃん、俺には元金というものがない」

 「それは大丈夫。お前のじいちゃんは私に金をいくらか残してくれたからね。私は人間じゃないから、金なんか使わないのさ。そうだね、私は銀四十両ほど持ってるよ。だからそれを使って布を仕入れ、都で商い始めな」

 ばあさんはこういうと懐から出した銀四十両あまりを王生に渡した。そこで王生は次の日に五十反の葛布(くずふ)を買ってきた。

 ばあさんは「はやく都に行きなさい、数日で着くからね。大事なことは商いをするからには怠けちゃだめだよ。一日でも遅れれば、損するからね」と繰り返し言い聞かせた。

 こうして王生は、翌日朝早く、車に葛布をのせて都に向かった。が、途中で雨に遭い、葛布は油を塗った布をかぶせてあったので濡れなかったが、王生はずぶ濡れなった。この王成、生まれてから苦労したことがないので我慢できずに近くの宿に泊まった。ところが雨は止まず、翌日は大雨となり、道行く人々がびしょびしょになって走っているのを見て、都に向かったことを後悔し始めた。こうしてその日も宿に泊まり、三日目にやっと宿を出で五日目に都に着いた。すると、数日の雨で都に届いた葛布は少なく、値が上がっていると聞いて喜び、ある宿に泊まり、翌日市場に行ってみると、布の値はもう下がったという。がっかりした王成が、葛布の受取り先の店の主にわけを聞くと主が教えてくれた。

 「実は、はじめのうちは都には葛布が少なく、多くの王族の屋敷が葛布をたくさんほしがっていたので、値が普段の三倍に上がったが、三日後にもういらないというので葛布の値はまた下がり、それにいつもよりいくらか安くなるまで下がったんだよ」

 これに王生は何かに気がつき、「ということは俺が二日早く来ていれば、普段の三倍の値で売れたというわけ?」

 「そういうことだ!」

 「しまった。おばあちゃんのいうとおりだった!苦労したことのない俺には商いは無理か!」

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