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幼友達(再放送)

2010-03-16 10:54:08     cri    

 「そうだったのか。君は武術の心得が少しあっても、むかしからおとなしいから今でもいじめられているのか。よし、俺がなんとかしよう」

 「でも、相手は一人じゃなく、それにかなり出来るよ」

 「ふーん。あってみなきゃわからんぞ」

 「大丈夫かえ?」

 「ああ。で、そのかわり、俺もその塾に通っていくらか知識をつけたいから、その先生にいってくれよ」

 「それはいい。一緒に塾に通えるね」

 「うん。俺も学問を身に付けないといかんからね」

 「じゃあ、ごろつきどもは何とかしてくれよ」

 「ああ。で、こうしよう」

 ということになり、二人は飲み食いしながら何かを話し始めた。

 さて、次の日、町では胡証が前を歩き、その少し後ろから裴度が付いていった。しかし、かのごろつきどもにはなかなか会えない。そこで胡証がその辺の何軒かの飯屋に入って探すと、ある大きな店で、かのごろつきたちが酒を飲んでいた。

「おい!この店の中にいるぞ」

「そうか。よし、あとは俺に任しておきな。外で待ってていてくれ」

こういうと裴度は一人で店に入り、かのごろつきたちが飲み食いしている卓にいく。

これにごろつきの一人が気が付き、一人の見知らぬ若者が近くで自分たちを見ているので「何だおめえは!!?」ときく。この声にほかのごろつきも裴度を見た。

「なんだ、なんだ!?俺たちに何か用か?」

そこで裴度が答えた。

「いやあ。兄さん方、やってますね。実は俺の幼友達が、兄さん方にこれまでかなりお世話になったというので、俺が代わって兄さん方にお礼をしようと思ってね」

「なに?お礼を?俺たちの世話になったというのは誰だ?」

「そりゃあ。あとでわかりますよ」

 こういった裴度は、店の小僧にどんどん酒を持ってくるように声をかけた。

「さあ。今日は酒代は俺が持ちますからどんどん飲んでくださいよ」

 こういって裴度もどかっとすわり、運ばれてきた酒を飲み始めた。こちらごろつき達は、今日の酒がただになったんだから、それは遠慮なくまた飲み始めた。

 「さあ、さあ。飲んでください」と裴度は酒を勧め、しばらくしてそろそろ始めるかと急に横にいた男の顔をみていう。

 「どうです?飲み比べやりませんか?」

 「なんだと?大酒のみの俺達と酒の飲み比べやるってのか?」

 「そうですよ。こうみても俺は酒の方だけはかなり強いんでね」

 「ほほう!言ったな。よし、おい!誰かこいつと酒の飲み比べやれ。どうせいくら飲んだってこいつが金を払うんだ。かまうことねえやな」

 「よし!これまで酒で酔いつぶれたことのない俺さまが、おめえと飲もう」

 といって一人の大男が、裴度の向かい側にすわり、「おい!小僧!大きな茶碗と酒をもってこい」と怒鳴った。そこでいくつかの茶碗と幾つもの酒樽が運ばれ、裴度とこの大男はそっちが一杯ならこっちも一杯という具合にがぶがぶと飲み始めた。ところが二人とも飲めるは飲める。しばらくして一つの酒樽が空になったが、二人は顔が真っ青になっただけで、酔わない。これをごろつき達が、横でニヤニヤ見ている。こうして二つ目の酒樽が空になろうとしたとき、裴度が不意にげらげら笑い出し、相手を見ながら言う。

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