今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、少し変わったお話を二つ後紹介しましょう。一つ目は「動く石臼」、それから「首吊り幽霊」です。
まずは 、清代に伝わったという「動く石臼」というお話から、
「動く石臼」
いつのことかはっきりわからん。七里渡というところに郭二という豆腐売りがいた。郭二は、毎朝早起きして豆腐を作り、それを天秤棒で担ぎ町に出ては歩き売りし、売り終わるといつもの酒屋で、茹でた落花生、あるいはほかの安いつまみで酒をちびりちびりやってから家に戻った。そして飯を食ってからすぐに寝た。というのは豆腐を作るため、翌日また夜半に起きなくてはならないからだ。
と、この日、郭二は豆腐を売ってからいつものようにかの酒屋で飲み終わり、さて帰るかと腰を上げようとしたとき、秦三という男が酒屋にやってきた。秦三は郭二と同じように酒が好きで、いつもこの店に来るので、二人はいつの間にか顔見知りになってしまったという仲。秦三は郭二より二つ年上なので郭二は彼を「秦兄い」と呼んでいる。
「おう。秦兄い、仕事は終わったのかい」
「おう、郭二じゃないか」
「わしはもう飲んだからこれで帰るが。どうしたい?嬉しそう顔してるな」
「ああ。実は、今日は一儲けしてよ、懐具合がいいので、これからわしに付き合えよ」
「いやいや。あまり飲みすぎると夜中に起きられなくなるからよ」
「まあ、そんなこと言わずに付き合ってくれよ。おい、店の若けえの!上等な酒とうまい肴をもって来いや。今日は景気よくやるからよ」
「へい!まいどありい!」
酒屋の若いものはこの注文を聞き、ニコニコ顔で酒と肴をとりにいく。
「おい、おい!秦兄い、いいのかい?贅沢したりしてよ」
「安心しな。今日は機嫌がいいから楽しくやろうぜ」
これに郭二は少し考え、まだ早いかと秦三の好意に甘えることにして秦三と一つの卓に着いた。やがて上等な酒に二皿のうまそうな肴が運ばれてきたので、二人は酒を酌み交わし始めた。そのうちに秦三が言い出した。
「おい。今日は飲み比べしようぜ。郭さんはゆっくり飲むが、かなりいける口だ。つまり、あんたの酔った顔を見たいんだよ」
これに郭二は苦い顔をしたが、今日は秦三はまとまった金を稼ぎかなり機嫌がいいんだと悟り、その上、一度自分がおごったことがあるのを思い出して、黙ってニコニコしていた。
「どうだい?今日は二人でどっちが強いが試してみようじゃないか」
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