今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
今日のこの時間は昔の小話をいくつかご紹介しましょう。
最初は「太平広記」というの書物から「訪ねてきた年寄り」です。
「訪ねてきた年寄り」
趙さんは頭が悪いといわれていた。祖父と父はいずれも学識が高く、かなりの地位につき、何人かの兄弟も同じように賢いといわれ、いずれも進士などに上がり、仕官の道を進んでいた。しかし趙さんだけは、いくら勉強してもすぐに忘れてしまい、そのうちに三十を過ぎてしまった。
あるとき、趙さんは兄弟と共に友人の宴に呼ばれたが、どうしたことが宴の席では自分だけが白い服を着ていたので、これはまずいと思っていたところ、酔っ払った友が趙さんをあざ笑ったので不愉快になり、先に家に帰った。このときから趙さんは無口になり、そのうちに両親に黙って家出した。つまり、自分の小遣いで多くの書物を買い、晋陽の山に入り、住まいを見つけて昼間は書物を読み、夜は寝るという暮らしを始めたのだ。趙さんはこのままではいけないと思い、何とかしなくてはと考えたあげくこうしたのである。こう決めたからには、やりとおすと決心し、夏の暑さを我慢し、冬の寒さを何とかしのぎ、粗末な暮らしを送っていたが、物覚えが悪いことから学問はあまり進まない。それでも趙さんは頑張っていた。
と、ある日、一人の年寄りが趙さんの住まいを訪れた。趙さんにその年寄りは言う。
「あんた、こんな山奥に来て、学問に励んで、仕官したいと思っているのかね。いくらこんなところで頑張っても、ものはあまり覚えられないよ。それでは時が無駄になるというもの」
これを聞いて趙さんはこたえた。
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