「実はわたしは幼いときから物覚えが悪いので、学問にはげんでも大したことは出来ないと思います。しかし、わたしはどうしても頑張っていくらかでもよくなり、みんなから笑われる様な人間にはなりたくはないのです。それだけです」
「ほほう。そうであったか。見かけによらずしっかりしておるなあ。うん。そうじゃ。わしは何も出来んが、わしのところに来ないかね」
「あなたは、どこに住んでおられるのですか?」
「わしは、この山の西の大きな樹の下に住んでおる」
こういうと年寄りは、どこかへ行ってしまった。これに趙さんは驚き、果てはどこかの化け物だろうかと思ったが、どうも助けてくれるらしいので、翌日、支度をしてから年寄りよりのいう山の西にある大きな樹を探しに行った。そしてかなり探した挙句、ついにその大きな樹を見つけ、たが住まいなどはない。そこで「あの年寄りは樹の下に住んでいるといったな」と、なんと樹の下を掘り始めた。すると一本の立派な人参が出てきた。この人参はあの年寄りに似ているので、それを大事に持ち帰った。そして、「人間の姿に変われる人参は人の病を治せる」との祖父の教えを思い出し、さっそく人参を煮て、汁と共に腹に収めてしまった。すると、急に体中が熱くなり、まもなくめまいがしたかと思うと床にぶっ倒れたしまった。どれだけ気を失っていただろう。気がついてみると汗びっしょりになっていていた。そのときから趙さんは頭がすっきりするようになり、急に本が読みたくなった。そこで本をあけてみると、眼に入る文字が一つ一つ頭に詰め込まれるような感じがして、本をめくるたびに、文字がどんどん頭に中に入っていく。そして本を閉じると、今見た文字の一つ一つがはっきり頭にに刻まれている。喜んだ趙さんはそれから一心に学問に励み、次の年には山を降りて官吏になる試験を受けるため都にいき、一回で試験に受かり、その後はかなり高い位についたという。
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |