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高速鉄道事故、中国経済の成長スピードにも影響か

2011-08-03 13:15:00     cri    

 ■ 高まる鉄道省の資産負債率、金融当局も警戒

 中国の鉄道整備の資金源は二つの部分からなっています。一つは建設基金、減価償却基金、地方政府の出資および社会保障基金などの機関投資家の資金、もう一つは銀行融資と債権の発行です。中でも、後者の割合が極めて高いとされています。

 この3月末の統計では、中国鉄道省の資産負債率は58.24%で、負債残高は2兆元近くに達しました。今回の追突事故は、債務リスクをいっそう高いものにしたと分析されています。

 7月26日付の北京の日刊紙「新京報」によりますと、鉄道省は7月21日、今年3回目の短期融資計画として、総額200億元の債権を発行しました。しかし、実際に市場で募集できたのは187.3億元に過ぎず、残りの十数億元は複数の銀行が引き取らざるを得ないという事態が起きました。

 中信債券のアナリスト・張宏波氏は「鉄道整備計画の規模拡大に伴い、鉄道省の資金不足問題が顕著になっている。もし、今後も利子付債務に頼って資金調達をするなら、年間の有利子負債は5000億元に上り、2015年までに負債総額は4兆6800億元になり、資産負債率は72.2%に達する恐れがある」という分析を示しました。

 企業負債の警戒線は60%です。それに比べ、中国鉄道省の資産負債率は58.24%になり、しかも高まっていく方向にあります。

 拡大傾向にある鉄道省の債務リスクに対し、市場と金融当局は警戒を強めています。中国銀行業監督管理委員会はリスク予防を下半期の重点課題に据え、鉄道セクターの融資問題をしっかりと処理すべき課題の一つに列挙しています。また、鉄道省がこれまで銀行融資を受ける際、利子は基準金利より10%も低く抑えられていましたが、長年、借金だけが増えている状況に鑑み、鉄道関連融資の利子は今年の年頭からほぼ、基準金利に戻されました。

 ■短期間での改善が望めない収益状況

 ところで、拡大されつつある投資に対し、鉄道省の収益構造はとても喜べる状況にありません。

 鉄道省が明らかにした昨年度の財務諸表によりますと、2010年度の売上は6875億元なのに対して、利益はわずかの1500万元でした。

 また、中国における高速鉄道の敷設コストは、1キロ当たり1億4200万元もかかります。この巨額投資に比べ、現段階の収益性はそれほど芳しくはありません。武漢と広州を結ぶ高速列車を例にすると、2009年の開通から、延べ利用客数は2000万人に達しましたが、赤字は30億元にもなっています。

 高速列車はまだ普及段階にあり、短期間で大量の乗客を引き付け、高額な収益を出すことは現実的ではないし、運賃の引き上げにより収益性を高めようと思っても、やはり一定期間の時間がかかります。

 鉄道省の負債率上昇のリスクが指摘されている一方、「確かにリスクが大きいが、政府系のサポートがあるので、資金サプライに問題が生じるような事態にはならないだろう」という意見もあります。

 今回の高速鉄道事故は中国の国民に、今後、中国の向かうべき道、求めるべき暮らしについてじっくり考えるきっかけを提供しました。と同時に、事故が今後の中国経済のあり方に与える影響も、引き続き注視されます。(Yan)


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