今年3月に入り、市場に大量の野菜が出回り、供給過多になってしまったため野菜価格は急落、農家は売れば売るほど赤字になるという悲惨な状況で、泣く泣く野菜を大量処分するケースも出ています。
キャベツやセロリ、白菜などの野菜の価格について、春になってから北京、上海、山東、安徽など10余りの省・自治区・直轄市で大幅下落の現象が見られていました。北京を例に見ると、4月26日の新物の野菜出荷価格は前月の26日と比べて3割下落したということです。また、西部、貴州省貴陽市では葉もの野菜の価格が全般に下落しました。同市最大の野菜の集積地である五里沖農副産物卸売市場では、1kg=1.4元(約18円)だった白菜が、0.6元(約8円弱)まで下がりました。その他の野菜も3~5割、値下がりしています。中国商務省は全国で18種類の野菜の価格が3週間で平均16.2%下落したと発表しました。
野菜の重要な生産地である山東省は野菜の栽培面積と生産量が共に全国の1割以上を占めています。最近の野菜価格の暴落は、農家に大きなダメージを与えました。済南市唐王鎮でキャベツを栽培している農家は、「、余り値打ちがないね。1kg42銭じゃ少なすぎる。」「肥料のコストだけ考えても、せめて60銭は欲しいね」と語りました。
専門家は四つの原因があると分析しています。まず、昨年の野菜価格の上昇により、野菜農家が利益を追求して、むやみに作付面積を拡大したため、市場に出回る野菜が供給過剰になりました。二つ目は、異常気象により北方の野菜の収穫時期が前倒しになり、南方の野菜の収穫時期と重なりました。三つ目は、燃料価格の上昇で物流コストが上昇し、輸送が滞り、野菜を外部市場に出荷できなくなったため、野菜の買い付け価格が下落しました。最後に、野菜農家は農業の産業リンクの最底辺に位置しており、野菜の買い付け価格に影響力を持てないということですね。
中国商務省は、各地方の商務管轄部門に、野菜価格安定を図る措置を迅速に取るよう指示しました。各商務部門は、関係農業部門と連携を図りながら、軍隊や学校、企業の食堂に、"売りにくい野菜"を買うよう勧めているということです。
中国では、収穫から店頭に並ぶまでに多くの中間業者が介在するという構造が、いろいろ問題を生んでいます。業者の介在は、業者のさじ加減一つで流通価格の操作が可能であることを意味します。中国人民大学公共管理学院の厳金明副院長は、「農家と消費者の間の中間部分が多すぎる。農家の利益はこれらの中間業者に取られてしまう。そして、もう一つの原因は、農家が市場に関する情報を正確に把握できず、過去の経験に基づいて生産を行う。去年の価格が高かったから、今年栽培面積を増やす。そこで、供給と需要に問題が出た」と語りました。
このような現状を打破するべく、商務省は、農家救済のために「農超対接(農民とスーパーマーケットとの直接取引)」システムや「農批対接(農民と卸売業者との直接取引)」システムなどの流通システムを整備するよう各地域に通達しました。中間に業者を介在させずに店側と直接取引できれば、それだけ価格も合理的に設定できますし、農民による価格決定権の問題も解決できます。
各地で相次いで動き出したことです。山東省では、関係部門は、食品加工企業と農家との間で長期的な協力関係を結ぶことを強調しています。これは野菜農家に大歓迎されているそうです。山東省寿光野菜農家の周建偉さんは、「加工企業と協力したいです。向こうと契約をするから、いくら出荷しても買い付けられる。安心します」と語りました。
商務省の傅自応次長は政府の役割について「農民に情報を伝えるべきだ。農産品の流通ルートを整備し、流通の中間部分を減少し、農産品価格の上昇による利潤が確実に農民がもらえるよう、努力する」と述べました。
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