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中国の芸術品市場、高騰の行く末は?

2011-06-01 14:13:04     cri    

 中国の代表的なオークションハウス「中国嘉徳」による春のオークション大会がこの25日、北京で閉幕しました。取引総額は53億元(日本円660億円)を超えており、四半期ごとに開かれるオークション大会では、中国の新記録を更新しました。また、単作で落札価格が1億元を超えた出品作が2点あり、中国の芸術品市場の景気の良さを物語っています。

 今回のオークション大会は5月半ばからスタートし、分野別に約10日間にわたって実施されました。今回は、中国絵画・書、磁器・家具、油絵・彫刻作品、古書、ジュエリー、腕時計など計3142点、切手、記念通貨、銅鏡など計3796点が取引されました、このうち、成約価格が1億元(約12億円)を超えた作品が2点、1千万元(1億2000万円)を超えた作品が85点あったということです。

 同社の発表したところでは、今回のオークション大会では、4つの世界記録が誕生したことで注目されています。この四つの記録とは、

 ――現代画家・斉白石氏の作品「松柏高立図 篆書四言聯」が4億2550万元(日本円53億円)の価格で落札され、中国近現代書画の史上最高価格を記録しました。

 ――2つめは、中国人画家陳逸飛氏の油絵「山地風」は8165万元(日本円10億1700万円)という高値で落札され、中国油絵オークションの最高値を記録しました。

 ――そして、作られた年代は明らかにされていませんが、動物の彫刻が施されている銅鏡、銅の鏡が("明逾满月"跑兽镜)が897万元(日本円では1億1000万円)で落札され、銅鏡オークションの新記録を刷新しました。

 ――4つめは、元の時代の古書『両漢策要全12巻』が4830万元(日本円では6億円)で落札し、古書競売の世界最高値となりました。

 今回、4億2550万元で落札した絵画と対句を描いた斉白石氏は、1864年生まれ。1957年、93歳でなくなった中国絵画の大家です。今回、オークションにかけられた作品は、「松柏高立図 篆書四言聯」。縦266センチ、横100センチの、斉白石氏の絵画と書道作品の中でも、最も大きい作品として知られています。1946年、蒋介石の60歳の誕生日に贈ったものと言われています。作品は松と鷹をテーマとしており、鷹は剛健勇壮で「英雄」を、松柏は「長寿」を表しています。絵画に併せて対句「人生長寿、天下太平」が書かれています。

 中国嘉得によりますと、斉白石氏の作品は当初、サンフランシスコの個人収集家が保有していました。2005年、その収集家が中国国内のオークション大会に出品し、中国本土の資産家・劉益謙氏が500万元で落札しました。当初は絵画の部分だけでした。その五年後、つまり去年(2010年)、劉氏は絵画についていた対句を1500万元で購入しました。

 次に、油絵の記録を更新した画家・陳逸飛氏は1946年生まれ、2005年(59歳)に病気で急逝しました。今回、オークションにかけられたのは、陳氏の「山地風」という作品で、チベットをモチーフにした陳氏の代表作です。1994年の秋季オークションで286万元で落札され、当時の中国油絵の最高値を記録しました。今回は17年ぶりに記録が塗り替えられました。

 中国絵画のオークションで、単作の成約価格が1億元に達したのは、わずか1年前のことでした。当時は1億元でしたが、今回はわずか1年で、その4倍以上の価格に跳ね上がったわけです。

 一方、取引総額も大幅な上昇が見られました。中国嘉徳社がこれまで行なった春と秋のオークション大会の合計成約額は、2009年は20億元、2010年では63億元でしたが、今回は春のオークションだけで53億元に達しました。

 ところで、2009年秋のオークション大会で単作の落札価格が1億元を超えた作品が4点も誕生した際、「こうした勢いがいつまで続くか」と疑問の声も上がっていました。しかし、去年秋のオークションで、1億元を越えた作品が一挙に16点に増え、そのわずか5ヶ月後に、今回、4億元の落札価格が誕生しました。

 専門家は、こうした流れを受け、現在、過剰流動性と不動産・株式市場の不振を背景に、余剰資金が大量に芸術品市場に流れ込んだことを物語っていると見て、「今は、良い作品と強力な資金が互いに良い呼応をしているため、市場はさらに強気な方向に動いていくだろう」との見方をしています。

 ただ、中国における芸術品収蔵が、金融投資ツールになりつつあることを懸念する人も少なくありません。中国嘉徳の創始者の一人である陳東昇さんも、「アート市場はかつてないほど高騰し、空前に繁栄している時期になったが、これは同時に、かつてないほど危機にあふれている時期でもあることを意味する」と語っています。

 中国嘉徳は6月にもオークションが開きますが、高騰しつづける中国の芸術品市場、今後の成り行きに引き続き注目が集まっています。(Yan)

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