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<コレ若>第十弾(4) 夢に向かって手を取り合う若者たち

2011-12-27 14:14:27     cri    


中国人の友人らと=左から3番目が司馬さん

―中国での生活のこと―

 中国と日本の両国で暮らしてみると、自分が日本でいかに苦労をしていなかったのかを強く実感します。

 例えば、中国国内での1週間の旅を予定していた時、わたしだけ用事のため4日目には帰る必要がありました。目的地までの往復移動に2日半かかるということだったので、1日半しか滞在できないのであればと結局参加しませんでした。その話を中国の友人3人にした際、3人ともなぜ行かなかったのか、と腑に落ちない様子でした。1日半の滞在のために2日半の移動時間がかかるのは当たり前という感覚なんです。中国は確かに広いので、旧正月に実家に帰るために1日以上の時間を列車の上で過ごすこともあることを知ってはいたのですが、これには随分カルチャーショックを受けました。

 また、初めての展覧会で予想外の問題が起きて気持ちが落ち込んでいた時のことです。その時相談にのってくれた中国の友人から、むかし彼が初めての展覧会を開催しようとしたときの話を聞きました。彼の場合は、開催直前になって会場側の都合で突然中止になってしまったそうです。そこから話は広がり、中国で何かを成し遂げることがいかに難しいかを話してくれました。そしてそんな場所で、失敗はあっても展覧会をちゃんと開催できたことを褒めてくれました。その時彼の言った「中国では仕事したことが2割でも形になれば良い方だ」、という言葉がしばらく頭から離れませんでした。

 はじめは、発展段階にある中国で人々がそれぞれ自分の理想を達成しようとお互いにぶつかり合う結果が2割という実感につながるのかと考えていましたが、他の友人にも話を聞くと、日本と中国に関わらず、個人の経験によって実感が違うことを知りました。ただ、能動的に動かなければ、成功か失敗かといった実感は生まれません。こういった話題にそれぞれ異なる実感のこもった答えが返ってくるのは、それだけ中国で自分からアクションを起こそうとしている人が多いということなのかもしれません。

 もう一人、友人の女の子の話をしたいと思います。その子は農村の出身で、たくさんの兄弟姉妹がいる中で育ちました。そのため両親からあまり構われずに育ち、独立心がとても強いです。彼女と同じ寮に住む友人達によると、彼女は寮内でいつも一番の早起きで、一緒に住む他の子達を起こしてまわるそうです。寮の中で彼女は、うるさいお母さんのようだとからかわれています。

 そんな彼女は大学生活と並行して美大予備校の先生としても働き、高い美術大学の学費を全て自分で稼いでいます。忙しい中で絵を描いている彼女は、さらに週末はボランティアで寺院の掃除などをしに行きます。一度おせっかいで、このような生活では自分の創作時間がほとんど取れないのではないかと聞いたことがあります。その時彼女は次のように話してくれました。

 「自分はこれまでに周りの世界に支えられてここまで生きてこられたのだから、その恩返しをしたい。」

 わたしより3つ年下で、生活に苦労しているとは思えない視野の広さに驚き、彼女が友人であることがとても誇らしく思えました。不思議なことにこの言葉で、アーティストとしての活動を学生生活を離れて本格的にスタートすることに感じていた多少の不安が軽くなりました。現実に解決していかなければならない問題はあれども、気持ちは優しくいられることを彼女は教えてくれました。

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