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スペシャル企画:俳優・澤田拳也さん

2011-05-31 14:11:43     cri    

 全てを、有りの侭に受け入れる。

 そしてともすれば、目の前に起きた有事を自らの世界の一部にすらしてしまう。そしていつ何時でも、最良の策を瞬時に捉え、何事も無かったかのように軽やかにその策を実行するのだ。

 一度彼の世界を垣間見た者は、一様に澤田さんのその世界に触れたいと願う。

 一見とっつきにくいオーラを纏う澤田さんではあるが、その門戸はいつも開かれている。

 長期に渡った姜文映画の撮影でも、スタッフかエキストラかを問わず談笑し、ロケ地の地元の子どもたちに「おいで」と呼びかけた。日本語の書けないクルーから小道具で使う書簡を書いて欲しいと言われれば、じりじりと太陽が照りつける待合室の一角に書道の道具を広げ、納得の行くまで数十枚と書き続ける。

 画面に映るともわからない小道具にも拘らず、だ。

 エキストラとして参加した若い日本人たちは、そんな澤田さんに触発されて、自らの世界を見つめなおした。

 あれから13年が過ぎようとしている。

 役者としては、日本国内よりも国外での活躍が多い澤田さん。

 それはどんな現場であってもひるむことの無い精神的タフさと優れた体力にも関係するのだろう。そしてその人間としての魅力が、グローバルな感染力を持つということなのだ。

 出演映画の選択にも、独自のこだわりがある。

 オファーを受けた役柄が、人間として深みがあり、作りこまれた背景がある人物でなければ首を縦に振らない。逆に言えば、そうした作りこまれた役柄であれば、ギャランティーの如何を問わず、映画の規模さえも気に留めず、全力でぶつかっていく。

 そして肉体的な(容姿の)調整を含めた役作り。現場に入るまでには、全ての状態を役柄そのものにリンクさせている。

 役者としては、ますます深みが増す45歳。

 昨年2010年に公開された映画「葉問前伝(イップマン)」の撮影で2年前に上海を訪れたものの、北京までは足が伸びなかった。

 今回はイー・トンシン監督の新作映画「大魔術師」の撮影で、懐柔区(北京郊外)にある中国映画基地の星美スタジオに3ヶ月間滞在することになった。

 二度目の北京だ。

 中国の映画界から熱い視線を浴びる俳優・澤田拳也さん。

 12年ぶりの北京は、彼の目にどう映るのだろうか?

 (取材/文:中原美鈴)

 「これからの中日交流を支える若者たち」、今月はスペシャル企画として、日本を拠点にしつつ長年中国の映画界と交流のある注目の俳優、澤田拳也さんをクローズアップします。

 次回の第二回は、他の日本人役者とは一味違う、澤田さんのユニークな役者人生に注目します。どうぞお楽しみに!


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