繁星戯劇村の中、劇場への道
舞台は、2009年10月にオープンしたばかりのモダンかつアーティスティックでありつつもチャイナチックな面持ちを残す繁星戯劇村。この劇場は、ここ数年で台頭してきた民間経営の小劇場。150人ほどの収容が可能なこの舞台は、観客と役者との距離が恐ろしく近い。むしろ、距離感はゼロと言って好い。観客をも舞台の一部として巻き込むこの劇場。そして宣武門駅のすぐ北側に位置するからか、時折伝わる地下鉄の振動と重低音が一層アンダーグランドな観劇の雰囲気を盛り上げる。
これまで中国には、中国人か外国人かに関わらず、アマチュアがこうして舞台作品を披露できるような場所は無に等しかったのではないかと思う。しかしここ数年、中国政府が映画やアニメなどの「文化・芸術」面に力を入れ始めたこと、そして何よりも、中国の人々が文化や芸術に少しずつ注目し始め、それが想像もつかないほどの速さで民間に広がったことから、北京の文化・芸術分野はそれこそ「北京ドリーム」もリアルなのだと感じさせるほどのパワーで、プロかアマかを問わず、そして老若男女すらも問わずに、表現の場を増やし続けている。
「珈琲店的太太(コーヒー店の奥さん)」は昨年年始に初公演を行っている。実に1年以上ぶりの再公演。
「『珈琲店的太太』の内容は、夢を抱いて北京にやってきた日本人青年が自分の目標を再確認するというストーリーとなっており、アウェイでがんばっている日本人を描いています。日本人でなくとも、地方からチャンスを求めて北京にやってきた中国人も居たりするのが首都・北京の特徴だと思います。そんな人たちには、特に共感してもらいたい作品です。好きなことも嫌いなことも、何をするにしても楽なことばかりではありません。少なくとも、思いっきり取り組んでみて、後悔のない人生にしたいものです」。
パンフレットの冒頭には、そんな言葉が書かれていた。
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