2008年の金融危機の影響を受け、食料価格が高騰し、食料安全保障が各国で重視されています。FAO・国連食糧農業機関によりますと、今年1月の主要食料価格指数は2008年6月を上回り、過去最高の水準231ポイントを記録しました。これについて、FAOの専門家はこのほど、国際協力を強化するよう呼びかけています。
FAOが2月初めごろに発表した最新データによりますと、世界主要食料価格指数は7ヶ月連続で上昇し、今年の1月に史上最高水準を記録したということです。この高価格は、食料の輸入に頼っている貧困国や収入の多くを食費に当てている貧困層にとって大きな問題となることが懸念されています。世界銀行の統計によりますと、2010年6月以来、発展途上国では4400万人が高騰した食料価格の影響で貧困に陥っています。アブドルレザ・アバシアンFAOエコノミスト・穀物専門家は(音響1)「現在80を超える国が食料を輸入に頼っている。これらの国にとって、食料価格が高騰し続ければ、大変な負担となるだろう。これは消極的な状況どころか、非常に緊急事態であると言える」と述べました。
今回の食料価格の高騰は要因が複雑で、まず、ここ最近の世界的な天候不順が、主要農業国の食料生産に影響を及ぼしています。また、食料価格の上昇を受け、一部の国は食料輸入を拡大し、国内備蓄の増加を図っています。さらに、ドル安も食料価格をさらに押し上げる要因となる可能性があります。チャネムFAO事務局次長は「新たな食料危機の発生は断言できないが、警戒心を高めなければならない」と述べ(音響2)「2010年は年始から十分な食料備蓄が確保されていたため、これもまた現在の情勢が2007年や2008年と異なる原因である。しかし2011年に十分な食料生産と供給が確保できなければ、食料安全情勢はとても厳しくなるだろう。周知の通り、人口が絶えず増加している。予測によると、これから10年間で、食料生産を現在より70%増加させる必要がある。これについて、国際社会と各国が共に行動しなければならない」と述べました。
食料価格の高騰は世界食料安全の厳しい情勢を反映し、食料危機解決の厳しさをも物語っています。アバシアンFAOエコノミスト・穀物専門家は、「目下の新たなデータは、世界的な食料価格の上昇圧力が和らいでいないことを明確に示している。今後数カ月は価格が高止まりするだろう」との見方を示し、(音響3)「食料価格の反落を誘導するための根本的な方法は、生産を強化することだ。2011年は、より多くの小麦、トウモロコシなどの食料を生産し、食料の生産不足を避けるべきだ」と述べました。
食料供給の増加には各国政府の協力が必要です。まず、政府は農業発展を重視し、その拠出を増やして、農業生産力を高めなければなりません。また、国際社会が協調を強化し、先進国、国際組織、NGOなどが積極的に措置を講じて、貧困国家の農業生産率の向上を支援しなければなりません。FAOは現在「危機後の支援」プロジェクトを実施しています。このプロジェクトの責任者マースランド氏は、(音響4)「長年にわたって、食糧危機に対応するため、国際社会は食糧、種、機械などを提供してきた。しかし、より適切な選択や手段があるかもしれない。例えば、ハイチの支援プロジェクトであるが、農民は地震で土地を失って、収入がなくなった。これは危機解決という範疇を大きく超えている。つまり根本的な支援を提供する必要がある」と述べました。(翻訳:ooeiei)
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