タイとカンボジアの軍隊は7日、領有権を争っている国境付近の寺院遺跡「プレアビヒア」で再び衝突しました。これは4日から4度目の衝突となります。世界遺産遺跡周辺の領有権をめぐって対立する双方の軍隊は、二度の交渉により戦闘の停止に合意したものの、実際の停戦にはいたらず、むしろ衝突はますます激化しています。
争いの焦点は、紀元10世紀から12世紀に建てられた両国国境付近にある寺院遺跡「プレアビヒア」です。両国はいずれも、歴史的に、この寺院の周辺地域に対する領有権を保有していると主張しています。1962年、国際司法裁判所の判決により寺院はカンボジア領となりましたが、タイはそれに抗議し、争いが今日まで続いてきました。3年前、「プレアビヒア」がカンボジア領として世界遺産に登録されたことをきっかけに、遺跡周辺の領有権をめぐって対立が再燃しました。
4日から6日にかけて、両軍はこの地域で3回衝突し、ロケット砲や大砲などの重火器の使用で双方とも死傷者を出しました。5日から6日にかけて、双方の軍の指導者が話し合いを行い、直ちに停戦する協議を結び、外交的にも問題解決の交渉が進められました。しかし、6日の夕方に3時間も続く大規模な衝突が起き、さらに翌7日の朝、再び衝突が起きたため、タイの陸軍報道官は、カンボジア側が常に先に発砲しており、話し合いをしても意味がないと発表しました。
カンボジアのフン・セン首相は、国連安全保障理事会に緊急会合を開催するよう求めました。また、「両国は一衣帯水の隣国であり、衝突で得るものは何もない。この紛争がこれ以上拡大しないこと、両国の通常の貿易およびその他の関係に悪影響を及ぼさないことを望む」との姿勢を明らかにしました。
これに対して、タイ政府は7日午後記者会見を開き、パニタン報道官は、「これまでの衝突で、タイは常に攻撃される立場にあり、やむを得ず自衛したものだ。この状況をより多くの国に理解してほしい」と述べました。
カンボジアとタイの軍事衝突は、国際社会の注目も集めています。国連のパン・ギムン事務総長は6日声明を発表し、双方が最大限に冷静を保ち、敵対状態を終わらせるよう呼びかけるとともに、対話を通じて紛争の恒久的な解決ができるよう期待しており、国連は平和実現のための行動にいつでも支持やサポートを行うとの意志を表明しました。
アナリストは、国連の安保理で決議が出されるには、時間がかかるため、それまでの間、両国政府が国境地域の平和と安定をいかに保つかをまず考えるべきだとしています。長引く衝突は問題の解決にはマイナスになるだけです。(閣)
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