11月7日は24節気の一つ・立冬です。暦の上では、冬の始まりとされています。先週の週末に初雪が降り、北京の気温はぐっと下がりました。屋根の上、枝の間に積もった厚い雪や地面の黄色い落ち葉は人々に初冬の気配を感じさせています。
さて、今回の中国メロディーは中国の代表的な民族楽器・胡琴とこの楽器で奏でた音楽作品をご紹介いたします。番組の中でご紹介したのは「夜深沈(深沈と夜が更ける)」、「万馬奔騰(万頭の馬が走り回る)」、「江河水(河の水)」、「雨打芭蕉(雨の中の芭蕉)」4曲でした。
胡琴は共鳴胴、棹、糸巻き、弦、弓などからできている中国の民族弦楽器の総称です。胡琴は、その形状や材質それに音域などにより、二胡(にこ)・高胡(こうこ)・京胡(きょうこ)・墜胡(ついこ)などと呼ばれる種類があります。
「胡」とは、古代の中国西部、北方民族の総称です。もとはこの地域の音楽は胡楽と言われ、胡楽を演奏する楽器は「胡琴」と呼ばれてきました。今から1200年前の唐の時代、胡琴は中華文明の中心地である中原地域つまり今の黄河中下流域に伝えられました。その当時は弓が竹でできていました。弓が現在のように馬の尾の毛となったのは今から800年前の宋の時代以降です。その後、「胡琴」は地方劇の伴奏楽器として発展し、やがて板胡、京胡、二胡、四胡、墜胡など、様々な胡琴楽器が出てきました。20世紀半ば、民族管弦楽団の発展に伴い、胡琴の種類はさらに増え、高胡、二胡、中胡、大革胡、低音革胡など新しい胡琴楽器が編成されるようになりました。
胡琴は過去、地方劇の伴奏楽器としてよく使われていました。例えば、二胡は北方地方の地方劇や民間に流行している各種のうたいものの主要な伴奏楽器です。一方、南方地方の地方劇例えば、昆曲の主要な伴奏楽器は南の胡と書く南胡です。また、広東音楽の主要な伴奏楽器は高い胡と書く高胡です。そして多くの少数民族にはその独特な胡琴があります。例えば、馬頭琴は蒙古族の独特な胡琴楽器として、蒙古族の人々に親しまれ、今では、世界各国の人々に愛されています。
1曲目 夜深沈(深々と夜が更ける)(京胡)
曲は有名な胡琴演奏家・燕守平さんが京胡という胡琴楽器で奏でたものです。
京胡は京劇の伴奏楽器として有名で、京劇の普及によって広まりました。京胡の本体は小さいですが、音色が力強く明瞭に響きます。この「深々と夜が更ける」という曲は、最初は若い尼がその仏門の寂しい生活を悲しみ嘆く気持ちを描いたものでしたが、演奏家たちがアレンジするうちに、がっしりして強い雰囲気の曲へと変貌しました。
2曲目 万馬奔騰(万頭の馬が走り回る)(馬頭琴)
この「万馬奔騰(多くの馬が走り回る)」という曲は有名な馬頭琴演奏家・チポリコさんが創作したもので、馬頭琴の素敵な音色は多くの馬が広々とした蒙古草原で疾走する場面を生き生きと描きました。
3曲目 「江河水(河の水)」 (二胡)
有名な二胡演奏家・閔恵芬さんが奏でたこの「江河水(河の水)」という曲は東北地方の伝統音楽を元にアレンジしたもので、苦難の中に暮らす人々の悲しい嘆きを描きました。音楽評論家は「閔恵芬さんの演奏は終止符にも音楽が溢れる」と讃えました。
4曲目 雨打芭蕉(雨の中の芭蕉)(高胡)
この曲はもう一つの胡琴楽器・高胡が奏でたものです。高胡は高音二胡のことです。もとは粤胡、南胡と呼ばれていました。高胡は一般的に二胡より五度高く、その音色は明るく、音域も広く、優美さを表現できる反面、力強さも表現できる楽器です。
「雨の中の芭蕉」という曲は、初夏のころ、雨の中の芭蕉の美しい姿を描きました。
この番組へのご意見・ご感想などがございましたら、ぜひお聞かせください。
宛先
〒100040 中国国際放送局日本語部「中国メロディー」係
メール nihao2180@cri.com.cn
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |