10月の北京は、菊の花が一番きれいな季節です。都会の喧騒から遠く離れ、週末に車で郊外に出かけ、菊のお花見をする人がとても多いです。東晋時代の大詩人・陶淵明が詠んだ「菊を採る 東籬(とうり)の下(もと) 悠然として南山(なんざん)を見る」という悠々とした田園生活を楽しむのもいいですね。
さて、今回の中国メロディーは美しい秋をテーマにし、秋に関わる音楽作品と漢詩をご紹介いたしましょう。番組の中でご紹介したのは、「金色的晩秋(黄金色の秋)」、「漢宮秋月(秋の月)」、「楓橋夜泊(ふうきょうやはく)」、「喜豊収(豊作に喜ぶ)」4曲でした。
1曲目 金色的晩秋(金色の秋)
この曲は作曲家・周成龍さんが、中国西南地方の少数民族の音楽を元にアレンジしたもので、秋の美しい景色を音楽で表現しました。
2曲目 漢宮秋月 (秋の月)
この曲は中国の十大古曲の一つで、漢の時代の女官・王昭君の自分の運命へのやり場のない寂しさを表現しています。
王昭君は楊貴妃らと並んで古代中国の4大美女の一人に数えられます。前漢の元帝の時代つまり紀元前33年、北方の異民族である匈奴(きょうど)の王、呼韓邪単于(こかんやぜんう)が、漢の女性を自分の皇后にしたいと、元帝に依頼したところ女官である王昭君が選ばれました。彼女が匈奴王に嫁ぐ時、元帝に拝謁しました。 王昭君を初めて見た元帝は、その美しさに驚き手放すのを惜しんだのですが、匈奴との関係悪化を恐れ、撤回することも出来ず、渋々送り出したと言います。。
この王昭君の話は後世広く伝承されました。『漢宮秋月(秋の月)』という曲は王昭君が女官として後官に入って数年間、皇帝と出会う機会が、全くなく、元帝の寵愛を受けることができない寂しさを表現しました。
3曲目 楓橋夜泊(ふうきょうやはく)
この曲は作曲家徐振民さんが唐の時代の詩人・張継の同じタイトルの漢詩名作「楓橋夜泊(ふうきょうやはく)」を元に作られたものです。詩は次のように書かれています。
月落ち烏啼いて霜天に満 つ
江楓 漁火秋眠に対 す
姑 蘇 城 外の 寒山 寺
夜 半 の 鐘声客船に到る
つきおち からすないて しもてんに み つ
こうふう ぎょか しゅうみんにたいす
こそ じょうがいの かんざん じ
や はんの しょうせい きゃくせんに いたる
*上に漢文、下にひらがな
中国の有名な交響楽団・中国交響楽団が旅愁を詠ったこの詩を交響曲で演奏しています。江南水郷の美しい夜景と詩人の故郷への限りない思いを感じさせる曲です。
4曲目 喜豊収(豊作に喜ぶ)
中国放送民族楽団の演奏で、亡くなった有名な指揮者・ほう修文さんが指揮しています。中国放送民族楽団は1953年に創設され、中国の最も優秀な民族楽団の一つと称えられています。楽団の100人近くのメンバーはいずれも一流の演奏家で、その素晴らしい演奏レベルは音楽界で高く評価されています。
この「喜豊収(豊作に喜ぶ)」とい曲は中国北方地方の民間音楽を元に創作したものです。音楽は情熱とユーモアに溢れ、農民たちが豊作を祝う喜びを生き生きと表現しました。また、有名なチャルメラの演奏家・周朝東さんの絶妙なテクニックが印象的です。
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