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「蘇州の白湯麺」

2012-05-31 10:37:09     cri    

 次は杭の杭州の食べ物のお話です。

 「乞食麺」

 それは時の王朝の暴政の下に、民百姓の暮らしがどん底にあり、苦しみのため多くが故郷を離れてさまよい、物乞いをして日々を送っていた。

 ある日、来る途中で一緒になり、それぞれ助け合ってやっとのことで蘇州の常熟というところにたどり着いた数人の乞食の一人が、疲れと空腹、それに寒さのため倒れてしまった。一緒にいた仲間がさっそく、周りに落ちていた焚き木を集めて燃やし、この倒れた乞食の体を温めた。すると、どうしたことがここに来る途中で手に入れたのか、一人の仲間が一羽の鶏をぼろ袋から大事に取り出し、この乞食の空腹を少しでも満たそうと鶏を火で焼こうとした。しかし、鍋などの道具がないので困った。

 「どうしよう?火の中に投げ込めば焦げちゃうからな」

 「そうだな。じゃあ、硬い木の枝を作って串刺しの丸焼きにするか」

 「でも、毛を毟らんといかんし、ここのまま炙ると毛だけが焼け燃えてしまい、中身は食べられん」

 「いったいどうしよう?」

 とこのとき、そばでこれを聞いていた一人が言った。

 「そうだ。死んだ爺さんがむかしいってたぞ。食べ物を泥に包んで火の中に入れると、うまく食べられるようになるってよ」

 「ほんとか?じゃあ、そうすることにしよう」

 ということになり、仲間たちはさっそく、近くの溝の水で泥をたっぷり作り、それで鶏を厚く包んでから、火の中に投げた。

 そして暫くしたところで一人の仲間が言う。

 「もうそろそろいいころだろう」

 「いやいや、まだまだだ」

 「そうだな、鶏は毛も毟らなかったからな」

 「そういうこと。鶏なんか長いこと口にしなかったから、少しぐらいは待てる」

 「そうだ。そうだ、少しぐらいは待てる」

 「でも、こいつは腹を空かしすぎてぶっ倒れたから早く食わせないとな」

 「もういいころだろう?なんかいいにおいがしてきたぜ」

 「ほんとだ。なんかいいにおいだ」

 と、みんなが言っているときに、かのぶっ倒れた乞食がうなり声を出したので、これは早くせねばいかんと、一人の中年の仲間が、棒切れを取ってきて火の中から泥で包んだ鶏を外へ転がりだした。

 「おお!周りの泥は火のおかげですっかり乾いて色が変わり、泥がわれ始めて中から湯気がたってるぞ」

 「さっそく中をあけてみろ」

 こうして泥で包んだ鶏を取り出したが、なんと、かなり炙ったせいか、鶏の毛は、周りの乾いた泥にくっついて皮からぽろぽろきれいに落ちてしまい、また、鶏は熱々に出来上がっている。

 「どれどれ?」と一人が仲間たちの睨む中を、肉を手でちぎって、フーフーと吹きながら口に入れた。

 「うん?これはうまい、。うまい!この鶏は火が十分に通っていて、やわらかく、鶏のうまみがもったいぶらずに出ているぞ。誰か塩はあるか?」

 「どうした?」

 「少しでいいからふりかけろ。少しでいいんだぞ」

 そこで、仲間が大事にしている塩をいくらか鶏にふりかけた。

 こうしてみんなは出来た鶏を先に疲れと空腹のためぶっ倒れた男に食べさせ、残りを少しずつだがみんなで食べた。

 「うまい、うまい。こんな鶏は初めてだ。むかし、乞食をする前に食った鶏料理よりうまい」

 「そうだな。泥で包んで火の中に入れ、少し少し火を通したんだぜ」

 「これからは鶏はこうして食べよう」

 事はこれで終わったが、このことが誰の口からか伝わり、それから乞食たちは鶏をこのようにして食べるようになった。

 のちに、これがなんと杭州のある店の調理人の耳に入り、これは面白いと自分も同じものを作って何度も何度も繰り返し、酒を入れたり他の味付けしたり、また泥ではなく、鶏をハスの葉に包んだりして、よりおいしく作ったので、この店にはこの料理を目当てに来る客が増えた。またこのことががほかの店にも伝わり、この料理は瞬く間に知れ渡るようになった。そして人々はこれは乞食たちが思いついた作り方だといって「乞食鶏」と呼ぶようになったワイ。

 そろそろ時間のようです。では来週お会いしましょう。


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