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「乗り込んできた老人」

2012-03-15 11:20:32     cri    





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 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。

 実はこの林涛は7月末から入院しまして、9月上旬に退院し、その後は家で休養していたものですから、ここ数ヶ月の「中国昔話」は再放送となってしまいました。何しろ急なことだったので、当時はお断りもせず、すみませんでした。で、12月からの昔話の再放送はここでストップというわけ。いろいろ事情がありました。これまでのことをここで改めてお詫びいたします。

 さて、今日のこの時間は中国は南部湖南に伝わる「乗り込んできた老人」というい話をご紹介いたしましょう。

 「乗り込んできた老人」

 南の湖南に李公という若者が住んでいた。李公は父が残してくれた財産で気ままに暮らしていた。ある日、李公は、幼友達から遊びに来いという手紙をうけとったので、早速尋ねようと、数日後にかなりの土産をもち、二人の屈強な下男を供に、大きな船をやとい長江をくだり、幼友達が住むところに向かった。

 さて船頭と数人の船乗りがいるこの船は潯陽の港についたので、昼餉ということになり、供が支度をしていると、一人の老人が船に近づき、長江下流まで行くので、そこまで船に乗り込ませてくれと頼みに来た。これに供の李富はいやな顔をした。

 「ご老人、うちのだんな様は人付き合いを好まぬ方なので、どうかほかの船に乗せてもらってくだされ」

 これに老人は答えた。

 「そういわずに、やはりこの船に乗せてくだされや。お願いしますよ」

 「いやいや、それは困る」と李富は断ったが、この二人の声が大きかったのか、これに気づいた主の李公が船の穂先からやってきた。

 「これ!李富や、どうしたのだ?」

 「これはだんな様。実は・・・」と老人のことを話した。そこで李公、岸辺でかしこまっている老人をみた。老人は六十を過ぎており、白髪頭で背はあまり高くない。しかし、その目は生き生きとしていて、さっぱりした身なりをして李公を見返し微笑んでいる。これに好感を持った李公は、「この老人は懐具合が余りよくないのだろう。どうせ船に乗るのが一人増えたと思えばいい」と考えたあと、李富に「ご老人をのせろ」と命じた。そこで老人はお礼をいい、船に乗ろうとした。これに李富は苦い顔をしたが、主の言い付けなので黙ってしまった。

 ところが、こちらの事を聞いていたのか、近くにいた船乗りのうちの船頭らしい一人がこちらに来た。この船頭はごつい体をし、老人を睨んだあと李公に愛想よく話しかけてきた。

 「お客人。言っておきますが、見知らぬものを船に乗せて何か起こったら、俺たちは責任もてませんぜ。この点をよくお考え下せえ」

 これに老人はうつむいて苦笑いしていると、当の李公は少し考えたあと答えた。

 「それはそうだが、この困っている老人は大丈夫だろう。ほったらかしておいては気の毒だ。やはり、船にのってもらおう」

 老人はこれを聞きにやっと笑い、二人の供は互いにみて首をわずかに横にふり、かの船頭は振り返って船乗りたちをみた。これに船乗りたちはいずれもいやな顔をした。こうしてかの老人は船に乗り込んできた。そして老人は李公に手を合わせてお礼し、この船はどこに向かっているのかを尋ねた。李公は答える。

 「実は、私の幼馴染が安徽に住んでおり、これまで彼とは二十数年もあっていないので、懐かしいから訪ねにいこうと思いましてね。そのほかにたいした用事はありませんよ。ご老人、どこへ向かわれるのかな。お送りしますぞ」

 老人はこれに微笑み、「これはこれは、まことにありがたい。あなたのような親切なお金持ちは始めてですわい」

 「あ、そうそう。私は李公というもの。ご老人は?」

 「これはこれは失礼しました。お世話になる身でありながら、忘れておりました。私めは金といいます。生まれは嘉禾ですが、若いときにふるさとを離れ、これまで戻ったことがないので、一度は戻ろうと思いましてな。お邪魔でなければ、嘉禾までお願いします」

 「いいですとも」と李公が答えたときに、李富が昼餉ができたことを告げきた。こちら李公はこの老人から亡くなった父の面影をみたのかにやっと笑いいう

 「さ、昼餉ができたようですから、ご老人、私と一緒に食べましょう」

 これに老人はいくらか驚きすぐにうなずいた。こうしてその日の昼餉から李公はこの老人と一緒に食事するようになった。

 しかし、供の李富はこれに不服。主はどうしてどこの馬の骨か知らない老人にこうもよくするのだろうと不思議でしかたない。それに主がその場にいないときは、老人にきつい言葉で話す。これに気がついた李公は李富をこっぴどく叱りつけた。こうして李公は、この金という老人と毎日一緒に過ごすようになり、老人からいろいろな話も聞いた。


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