今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
さて、先日、家内がアゲマキを買ってきました。粒が大きいので買ったといい、アサリやハマグリよりこれがいいと思ってと言ってました。OK!よろしいですね、なんて!
で、どういう風に調理しようかなあと考えまして、蒸してから酢味噌につけて食べてよし。てんぷらやフライにしてもよし、鍋物に入れてもよしですからね。網で焼いても美味いんですよね。そこで考えた挙句、てんぷらにすることにしました。
まずは、アゲマキをきれいに洗い、水につけて塩を少し入れて砂を吐かせます。でも、下手したら死にますから、気をつけます。そして蒸し鍋で五六分蒸します。そのあと身を殻からだして水気を切り、衣を着けててんぷらにするだけ。てんぷらは熱々のものにお酢を少し混ぜたマヨネーズをつけていただきます。
もちろん、酒の肴はこれだけでは足りないので、濃いめのだし汁で煮込んだ大根と油揚げに溶き芥子を添えたもの。それに薄い塩水で煮たピーナツです。
こんなものですかな。でもアゲマキは、佃煮にしたりしてもおいしいですからね。この次にそうして食べることにします。
本題に入りましょう。今日は中国の歴史上の人物である東方朔にまつわるお話をご紹介しましょう。
東方朔は漢の文人で字は曼倩(せい)といい、今の山東の生まれ。漢の武帝が即位したあと文士を募ったときに自分を褒めた文章を書いてその才能を認められ、官位につき、ついには武帝の側近になったそうです。彼は滑稽な人物とされ、いろいろ面白い話があります。この時間はその一つである飲むと死なないという「不死酒」のお話です。
ところで、湖南省の岳陽に亀と蛇の酒と書く亀蛇酒がありますが、この酒も俗に「不死酒」と呼ばれ、これは不老長寿の酒で、むかしはこれを飲めば仙人になれると云われました。
また南北朝時代の書物「水経注」によりますと、今から二千年余り前。漢の武帝劉徹は仙人になりたいために不老長寿の妙薬探しに四方八方に人を遣りました。そしてこれら派遣されたものは、今言った湖南の岳陽の君山に飲めば死なないという酒があることを聞き出し、それを武帝に報告すると、武帝は大喜びで、さっそく大将のらん巴に部下を率いて岳陽に向かわせたのです。今日のお話は題して「東方朔、不死酒を盗み飲む」です。
「東方朔、不死酒を盗み飲む」
時は漢の時代、武帝の命で不死酒を求めて岳陽の君山に向かった大将らん巴らは、黄河を渡り、長江を過ぎ、洞庭の湖を越えてやっと君山に着いた。この山には大きな柏の樹が多く、鹿や鶴の鳴き声が聞こえ、草花は茂り、小鳥もさえずり、まさに仙境に来たようだった。少し登ってみると、なんと上のほうからなんともいえないうまそうな酒の香りがしてきたので、これは本物だとらん巴と部下は急いだ。そしてやっとのことで滝の近くにある小さな祠のような建物に着いた。見るとその看板には「亀蛇酒」と書いてある。かの酒の香りはここからするので、らん巴が中に入ると一人の長いひげの道士が丹薬を練る釜の横で目を閉じて座っていた。見ると近くに大きな壷がいくつもある。そこでそっと近寄って中を見ると亀と蛇が飼われていた。そこでらん巴は跪き挨拶した。
「これはこれは、お邪魔申す。拙者は都から来たもの。実は皇帝さまから飲めば死なないという酒を持ち帰れといわれ、こうしてはるばるここまでやってまいりました」
これに道士は目を開け、部屋の隅にある大きな甕を指差し「それに入っているのが千年の酒じゃ」という。これに喜んだらん巴は何度も頭を下げて礼をいい、外で待っている部下に銀貨がたくさん入った袋をもってこさせ、また用意した壷に甕の中の酒を詰めさせ、ホクホク顔で君山を離れた。
こうしてらん巴の一行は都の長安に戻り、このことを武帝に告げたところ、武帝は大喜び。さっそくらん巴に労いの言葉を送り、かなりの褒美を与えた。そしてこの苦労して持ち帰った不死酒をすぐに飲んでしまってはもったいないと、このとき論議を司る役目の大中太夫(たいふ)をしていた東方朔に、酒を御用の蔵に収めておくよう命じた。
さて、この東方朔は酒好きなことはもちろん、生まれつき好奇心が強く、この酒を飲めば死なないときいたが、実は信じない、しかしうまい酒だというので自分はなんとかして飲もうと考えた。そして酒を蔵に収めた翌日、東方朔は一人で蔵に来ると門番に誰も中に入れるなと命じ、自分は蔵に入ってかの不死酒の入った壷をあけた。
「う~ん!これはすばらしい香りだ。どれどれ?」と懐から小さなお碗を取り出し、壷の中の酒をすくい、一口飲んだ。
「うわ!これはうまい!喉がすっきりし、胃にしみこむわい」と茶碗をあけた。すると腹の中が暖かくなり、体のあちこちにあったような凝りが解け、それに頭がすっきりする。
「うほ!これはすごい」と東方朔はもう一碗酒をすくうと、今度は一気の飲み干した。すると、やはり酒なので程よい酔いが来るだけでなく、気持ちがいいため、さも天に上るようだった。
「うん!うん!これが不死酒か・・」と感心していたが、これは武帝の酒だということを思い出し、慌てて壷のふたを閉め何食わぬ顔して蔵を出て行った。
こうして東方朔は屋敷にもどったが、飲んだ酒の後味がとてもよく、次の日になっても酒のうまさが舌にのこり、もう一度盗み飲みしたくなった。そしてその翌日また一人で蔵に入り飲んだ。こうしたことが何度も続き、なんと不死酒の入った壷は空になってしまったでわないか。
「こ、これはいかん。いい気になってみな飲んでしまったワイ。これはどうしたらいいものか。皇帝さまが不死酒を飲みたいといわれれば、ことがばれてしまう・・」と東方朔は頭を抱えていたが、そのうちにいい考えが浮かんだのかにやっと笑った。
「そうじゃ。壷にはうまい酒の味が残っておるゆえ、米の酒をいれておこう。うまい酒の味が少しでもすれば何とか騙せるわい」
ということになり、東方朔は近くにあった米の酒の壷をあけ、中身を不死酒が入っていた壷に流し込んだ。
「これで皇帝さまを騙せればいいんだが・・」と東方朔は不安な顔できょろきょろしながら蔵を出た。
一方、武帝は一日として不死酒のことを忘れはしなかった。そしてある日、今晩こそ不死酒を飲んでやると側近に夕餉にかの酒を用意せよと命じた。こうしてその日の夜、側近が蔵からかの壷を持ってきて武帝の前でふたを開け、中の酒を徳利に入れて武帝に出した。そこで武帝はニコニコしながら杯を前にし酒を宮女に注がせてその匂いをかいだが、特に芳しいという匂いはない。そこで酒を一口飲んで、吐き出した!
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