もう5月になりましたね。日本では5月というと鯉のぼりを思い浮かべますが、中国では5月と言ったら、多くの人が「5月歌合戦」を思い浮かべます。「5月歌合戦」と言うのは、中国の学校や政府機構が毎年5月に行う合唱祭のことです。私の学生時代に、学校の合唱祭で優秀な成績を取るため、この時期、合唱の練習にとても忙しくしていました。

　今回の中国メロディーは中国内蒙古自治区の合唱団・五彩フロンボイル児童合唱団の特集です。

　五彩フロンボイル児童合唱団は今から5年前の2007年に創設された合唱団です。フロンボイルというのは中国東北地方にある草原のことです。ここにはオロチョン族、エウンキ族、蒙古族、ダフール族など多くの少数民族が暮らしています。合唱団のメンバーはほとんどフロンボイル草原に住むこうした少数民族の子供達です。子供たちが民族独特な言葉で歌う民謡を聞いて、歌詞の意味はあまり分りませんが、その清らかな美しい歌声は心を打ちます。

　有名な蒙古族歌手のブレンバヤルさんは、この合唱団の芸術監督を務めています。ブレンバヤルさんがＣＲＩのインタビューに次のように答えてくれました。

　「わが合唱団の37人のメンバーは300人あまりの各民族の子供から選出された優れた小さな歌手です。その中で最年長は13歳、最年少はわずか6歳です。合唱団に入る前まで、子供たちは声楽の練習をしたことがありませんでした。でも、彼らの素朴な歌声は様々な音楽的な魅力に溢れていました。そこで、中国語で五つの色を意味する五彩という言葉をつけて、五彩フロンボイル合唱団と名づけたのです。子供たちは合唱団で声楽の知識を学ぶと同時に、各民族の民謡と言語を学び合い、大きな進歩を遂げました」と話しました。

　社会の変遷に伴って、昔から草原で広く伝えられてきた多くの民謡はだんだん人々から忘れられるようになりました。このような貴重な民族遺産は守っていかないと、今後受け継いで行くことが出来なくなってしまいます。

　そこで、五彩フロンボイル児童合唱団は76歳のオロチョン族のおばあさんに、合唱団の芸術指導をお願いしたのです。おばあさんはオロチョン語やダフール語、モンゴル語で多くの少数民族の民謡を歌うことができ、これらの古い民謡を子供たちに熱心に教え伝えました。そして多くの年配の芸術家は、子供たちが舞台で少数民族の言語で古い民謡を歌うのを見て、感激の涙を流したのです。

　ここ数年、五彩フロンボイル児童合唱団はへーラルやフフホト、北京、天津、深センなどの都市で公演を行い、行く先々で皆に喜ばれています。2008年、合唱団は日本の紅白歌合戦に当たる中国の旧正月の恒例番組「春節聯歓晩会」に登場し、天使のような歌声で多くの人々を感動させました。

番組の中でご紹介した４曲

　一曲目「高高的興安嶺（高くそびえる山興安嶺）」

　オロチョン族の民謡です。故郷－美しい森とオロチョン族の狩猟生活を軽快なメロディーで讃えています。子供の天使のようなハーモニーは本当に心に響きます。

　歌詞

　高い興安嶺に深く茂った森があり

　森の中に勇敢なオロチョン人が住む。

　黒龍江の水はざあざあと流れ、

　キバノロや野生の鹿がとても多くて

　全部を狩ることなんてできない。

　二曲目「オフラン、デフラン（鄂呼兰 德呼兰）」

　エウンキ族の民謡です。曲の中の子供たちの笑い声と元気で活発な歌声は新しい牧場へ引越してきたエウンキ族の人々が喜んで家を作る場面をいきいきと現しています。子供たちの元気あふれる歌声を聞くと、まるで子どもの無邪気な世界に溶け込んでしまうようです。

　三曲目　「海拉尔河（へーラル川）」

　蒙古族の民謡です。ヘーラル川の美しい景色を描いています。

　リードする男の子の高らかな歌声は人々を美しいへーラル川へ誘います。

　歌詞

　ヘーラル川の水は清らかで美しく、

　遠くまで延々と続いている。

　可愛い娘は優しく美しい。

　明るい笑顔が僕の心に残る。

　四曲目　「遠古的祝福（いにしえの祝福）」

　春に万物がよみがえることを讃え、オロチョン族の人々の自然への崇敬と感激を表しています。　

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