「いえいえ、そのいずれでもありませぬ。これは主に小麦粉をつかったもので出来ておりまする」
「え?小麦粉?」
「手でお調べください」
こうして乾隆帝や大臣たちは人形をよーく見たり、触ってみたりしたが、人形は柔らかく、確かに小麦粉で出来ているのがわかり、またまた驚いた。乾隆帝が聞く。
「劉墉や。これら人形はいったい誰がこしらえたのじゃ?かなりの腕じゃな」
「はい、申し上げます。私めの故郷からきた王というものです」
「うん?そちの故郷といえば山東じゃな。山東からは能あるものがよく出る」
「ありがとうございます」
「劉墉や。銀五両だけでこのような九つの贈り物を持ってきたとは、そちも頭がよい。よいか。朕は褒美として十倍の五十両をそちにつかわそう」
乾隆帝はこういい、上機嫌で笑いだし、やがては寝殿に戻っていった。
乾隆帝がいなくなると大臣どもは人形を囲み、手に取ったりして出来ばえを褒め、自分たちにもこのような人形を作ってくれと劉墉に頼む。これに劉墉は何度も何度もうなずいていた。
こうして劉墉はホクホク顔で屋敷に戻り、王さんを呼んだ。
「よいか。お前は今日から名の知れた職人になったのじゃ。今日からお前の作った人形をほしいというものがたくさん出てくる、いまさっき、わしは皇帝さまから褒美として銀五十両を頂いた。そのうち半分やるから、お前は外で店をだし、その腕を十分生かして商いを始めろ」
これに王さんは大喜び。金をもらい、劉墉に深々とお辞儀して、支度をしたあと屋敷を出た。そしてもらった金で家を買い、小麦粉とほかのものを整え、「小麦粉人形」と書いた看板を出したので、役人や金持ちが注文に来るようになった。それに値が安いので町の人々も買いにくる。
それからというもの、王さんの人形作りの腕はますます上がり、八仙人のほかに、孫悟空、猪八戒、関羽や張飛など多くの人物や面白い獣たちなども作り、その評判は高くなる一方。しかし、王さんは大金を稼ごうとはせず、小さな箱を作り、毎日それが稼ぎの金でいっぱいになると店を閉めた。が、これでも日がたつと稼ぎがかなり溜まったので、ふるさとにいる女房と子供を都によび、新しい家を立ててそこに住んだ。
もちろん、人形の作り方は、二人の息子に教えている。こうして王さんも年をとってきたので、商いを息子にやらせ、またふるさとから来た若者を弟子として受け入れたので、この小麦粉を使った人形作りはその後一代一代と伝わったわい。
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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