「旦那さま、こんなものでどうでしょうか?」
「どれどれ。おお!これはすごい。お前、その腕で商い始めんか?自分の腕を信じろ。人形を町や縁日のとき売るのじゃ。いい儲けができるぞ」
「ええ?こんなものが売れるんですか?」
「何しろ試してみることだな。それで、人形だか、もう少し細かく作り、長持ちさせるために蜂蜜を塗ってみたらいい」
「は、はい。そうおっしゃるなら、やってみます」
「うん。それにもう少し色をつけて、一つ一つ丁寧に蒸かしてみろ。そうすれば蒸かしたあとに色をつけるよりもいいかも知れん」
これに王さんは大喜び。さっそく劉墉に何度もお辞儀して戻っていった。こうして王さんは劉墉の言ったとおり、いろいろ苦心した。そして人形作りの道具として先が丸いか、または尖ったヘラ、それに薄い鉄で大きさの違う小さなは鋏などを作った。おかげで人形はこれまでよりはやく作れるようになり、王さんの腕も上がり、心を込めて作った八仙人の一人一人の顔かたちははっきりし、まるで生きているようだった。これを王さんは劉墉にみせた。
「うん、うん!これはすばらしい。それに蜂蜜を塗ったのでつやが目立つのう。象牙や玉で彫ったものと同じだ」
こう褒めた劉墉は、ふと黙ってしまった。これに王さんは、急に旦那さまはどうなさったのかと息を殺していた。
劉墉、実は大事なことを思い出したのだ。というのは、あと数日もすれば、時の皇帝乾隆帝の生誕の日がくる。これまで毎年、この日に、大臣たちが祝いものを送っていたが、この祝いものだけでも銀数千両の金がかかる。それに毎年違うものでないといけないので、このことが大臣たちの悩みの一つになっていたのだ。そこで劉墉は、今年はこの小麦粉人形を遅送れば、一味違って乾隆帝に喜ばれるに違いない。それに安くつくので一石二鳥だと考え、王さんに言いつけた。
「どうじゃ。これからお前の腕を借りで大事なことを済ましたい」
「え?どんなことでございます?」
「それはあとでわかる。なにしろ、今日から、これより大きな八仙人を作ってくれ」
「これより大きいとはどのぐらいの大きさで?」
「そうだな。高さが一尺あまりあればよい」
「高さ一尺あまりでございますね」
「うん、よいか、細かく作るのじゃぞ、うまくいけばお前の名は知れ渡り、よい商いができるようになる。これは間違いないことじゃ」
というわけで、王さんはその日から作りにかかった。そして三日後、八仙人だけでなく、長寿の神まで作って劉墉に渡した。劉墉が喜んだのはいうまでもない。
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