会員登録

ハニ族の民間芸人「張樹皮」

2009-11-27 10:25:39     cri    

 中国南の雲南省の省都昆明市郊外の民族村に雲南省無形文化遺産保護・伝承基地が設けられています。「張樹皮」と呼ばれるハニ族民間の手工芸人がここで仕事をしています。張さんは木の皮でいろいろな工芸品を作ることができます。

 雲南民族村は雲南地域の多彩な少数民族の文化を展示するために設けられた景勝地です。ここには25の少数民族の村があります。ハニ族の村はその中の一つです。この村には木の皮で作った工芸品「樹皮布展覧館」があります。そこは「張樹皮」と愛称される張さんの仕事場でもあります。この展覧館に入ると、樹皮で作成された古めかしいカンテラやくま取り、衣服など珍しい工芸品が目に入ってきます。これらの作品は張さんの手によるもので、ハニ族の伝統的な服飾文化と樹皮文化をたくみに結び、すばらしい技術によって作られたものです。

 張さんの本名は張衛平といいます。張さんが樹皮布を知ったのは1994年29歳のときのことでした。ある日、偶然に父の寝床で珍しい布を見ました。形は不規則で、粗い仕上がりのように見えていますが、しなやかな手触りで、綿の布より厚く、丈夫なものでした。父に聞くと、「樹皮布」だと分かりました。この樹皮布は「剣毒木」の皮でできたものです。剣毒木は雲南省シーサンパンナの原始林に生育し、強い生命力を持ち、皮が厚くて繊維と弾性力に富んでいる樹木です。木を回って、その幹をハンマで何回も敲くと、皮が幹から剥がれます。その後も、木はまた新たな皮を生じることができ、生育に影響しません。雲南省に住むダイ族やハニ族は剣毒木の皮をかつて紡績品とする伝統があります。

 張さんは樹皮にこんな不思議な用途があると思いませんでした。樹皮で衣服を作るわざを父から習いました。この絶滅の危機に瀕した文化を保護するため、張さんは周辺の村をまわり、樹皮の原料と加工の方法を探りました。一生懸命働く張さんの様子を見て、人々は張さんに「張樹皮」と言う愛称をつけました。

 「剣毒木」を探すのは容易なことではありません。というのは、この木はゴムの木に非常に似ており、敲くと、枝がすぐ折れてしまい、そこから液体が飛び出します。もし、液体が目にはねたら、目が痛くなります。人々はあまりこの作業をしたがりません。

 「剣毒木」はまた一つウバズ「見血封喉」という恐ろしい名前を持ています。世界でもっとも毒のある植物で、木の液体は人間や動物の血液に入ると、直ちに死亡する恐れがあります。初めのごろ、張さんは大変な苦労をしました。そして、ようやく一本の「剣毒木」を見つけました。気をつけながら木のハンマで皮をゆっくり取った後、きれいに洗い乾かしてから、やっとベージュ色の樹皮布を手に入れ、珍しい衣服に仕上げました。

 1995年、台湾からの観光客がこの衣服を大変に賞賛し、200ドルで購入しました。そんな様子をみて、張さんは樹皮工芸品の作成にいっそう専念するようになりました。その作品には帽子、靴、スカード、ズボン、ハンドバックなど10数種類もあります。そして、張さんの小さな仕事場が広く知られるようになり、多くの国の首脳が訪れたほか、その名をききつけ、たくさんの人々がここをおとずれるようになりました。人々は樹皮芸術に魅了されています。

 これは芸術と生活の息吹に満ち溢れる「生長する芸術」と言われています。人類の発展史から言えば、衣服の始まりは樹皮だったかも知れません。樹皮の衣服は生きた衣服の化石と言えましょう。

 話によれば、樹皮はハニ族にとってすでに1000年余りの歴史があります。古代雲南南部に生活していたハニ族の先祖は防寒用に昼間、樹皮の衣服、夜は樹皮を掛けました。ハニ族の作成した樹皮の服は柔らかく、透気性がよく、3年から5年も着れます。また、樹皮服はリュウマチの予防と治療に効果的だそうです。しかし、社会の発展につれて、この服を作成する技術がだんだん消えていきました。

 1997年4月、張さんは自分の作品を持って、シーサンパンナで行われた交易会に参加し、そこでセンセーションを巻き起こしました。また、1999年に昆明世界園芸博覧会中国館で展示し、絶賛され、2002年中国国際観光祭商品即売会で「優秀な観光商品賞」と最高アイデア賞を授与されました。

 張さんの作品は原始的かつ、素朴で、遠い昔に戻った錯覚に陥ると同時に、現代の文化と融合されています。

 張さんの作品は草稿と形が重複したものがありません。ごく普通のものでも張さんの手にかかると、唯一つの芸術品にかわります。人物や花鳥なども張さんの作品のアイディアになります。張さんの作品は世界の多くの博覧館に保存され、ハニ族文化の代名詞ともなっています。

 現在、張さんは雲南省無形文化遺産の継承人であり、毎日国内外から多くの観光客を迎えます。その中で、一人のポルトガルからの観光客が大金で張さんの技術を買収しようとしましたが、張さんに断られました。張さんは、「樹皮作品の技術は私の子供のようなものです、また、民族のもので、個人に属するものではないから、売ることはできない」と話しました。

 張さんの最大の希望は個人の樹皮芸術館を開き、そのわざを次の世代に伝承するいうことです。(翻訳:トウエンカ)

関連ニュース
民族ガーデン
v 蒙古族の学者ーバトゥ 2009-11-23 16:44:12
v チベット医薬文化博物館 2009-11-06 10:02:00
v 霞給チベット族文化観光村の新しい生活 2009-10-30 10:08:59
v シポ族人家 2009-10-23 11:25:48
v ロガパイさんの定住生活 2009-10-15 12:52:10
v 「アークン」文化観光祭 2009-10-08 16:36:00
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS