また、中国人力資源社会保障省の責任者の話では、中国で国民の実際の定年退職の平均年齢は、53歳。多くのところでは、定年の前倒し現象がよく見られます。一方、ここ数年、一部の地区では「求人不足」がたびたび発生します。世界一の労働力資源を誇る中国では、求人不足の発生は本当に皮肉なことで、一方では、若者の就職難が続き、他方では、ベテラン技術者が足りない難題に直面しています。定年退職の年齢を65歳に遅れることは、近いうちにあり得ないものの、今後、これらの問題を解決する一つの方法になるかもしれないということです。
実態の数字にびっくり!日本から見ると、あまりにも若すぎると言う感じがします。確かに地方によって、職業によって、定年退職の制度に柔軟性のある見直しが必要です。例えば、学者やお医者さんの場合、博士を卒業して、30歳や35歳になってようやく患者を診るようになります。60歳になると、ちょうどう経験豊かな働き盛りですが、定年すれば、人的資源の浪費になりますね。女性の場合もそうです。また、55歳の女性科学者、ようやく育児や家族の負担から解放されて、仕事に専念できるような年になるのに、定年すれば、本当にもったいないと思います。一方、IT業界は従業員の知力、体力と精力を重視する。研究開発を担当する従業員の定年退職年齢は50歳ぐらいです。
さて、柔軟性のある定年退職制度、これについて、人々はどんな意見や議論があるのか、次のデータを見てみましょう。中国の大手ポータスサイト「SOHU.Com」はこのほど、ネットユーザを対象としたアンケート調査を行いました。36万3682人のネットユーザーは調査に参加し、回答者のうち、22万8584人、つまり62.86%は柔軟性のある定年退職制度に賛成しているということです。
しかし、柔軟性のある定年退職制度に反対している意見もあります。例えば、一部のネットユーザーは、「柔軟性」を計る統一の基準はないので、不透明のやり方は公平を損なう恐れがあるということです。中国語では、「潜規則」、つまり、目に見えない「暗黙なルーツ」や「やり方」が存在すれば、各利益集団は自分の利益を守るために、社会の公平と正義を損なう恐れがありますね。一部、権力や収益の多い業種や部門に携わる人は、自分のポジションを守るため、定年を延期すれば、若者の就職難はいっそう深刻になるのではないかと思います。
何といっても、半世紀にわたって、1950年代から実施されてきた中国の定年退職制度、いまの社会事情や時代に付いていけないところがきっとあると思います。見直し、もしくは調整に動き出すことは絶対にいいと思います。具体的にどんなふうに調整していくのか、みんなの知恵が必要ですね。社会の公平と正義を守る前提の下で、国民一人一人の具体的に事情に合わせて、柔軟的になおしてほしいと思います。
本人の意思と、企業、組織に貢献できる能力によって、定年延長が検討できる風通しのいい社会であることが大事でしょう。それは、ある意味競争社会ということになるのかもしれないが、「本人の意志ではどうにもならない」という閉塞感のようなものを中国の若者と話していて感じることがあります。定年問題も、中国の社会構造のマイナス面を変えていく、一つのきっかけになればいいと思います。(8月1日OA「イキイキ中国」より)
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