このほど、人力資源社会保障省は、「弾性的に退職年齢を遅延する」と明らかにしましたが、社会各界からの注目と関心を集めています。現在、中国における一般労働者の定年退職年齢は男性が60歳、女性が55歳です。一部のメディアが「定年定職の年齢が65歳またはそれ以上に引き上げられる」と報じました。
日本でも、定年年齢の延長が討議されていますが、大企業などではすでに、実質的な定年延長が実施されています。日本と同じように、中国も少子化高齢化が進んでいますが、深刻な年金危機に陥っているという説もあります。現在、60歳以上の高齢人口はすでに1億 7800万人に達し、総人口の13.26%を占めています。もし男性60歳、女性55歳で退職すれば、次の世帯により重い負担をかけることになります。
ネット上で行われたある調査では、ネットユーザーの9割が定年退職年齢の引き上げに反対しており、「定年退職年齢の引き上げは個人の意思によって決められるべきで、強制的に行われるべきではない」と答えている人が圧倒的です。
賛成する人は「業種別に弾性的に引き上げればよい」と見ています。業種別で実施するのは合理的です。お医者さん、学校の先生など少し延長してもかまいません。工場労働者の大多数は現行の定職年齢を認め、早期退職を希望する者もいるようです。工場労働者は体力の消耗が激しく、給与レベルが低い上、不安定だからということのようですね。退職後には年金によって収入も安定しています。最近、国は年金水準を引き上げました。低所得の労働者の倍、早期退職すれば、所得が増えることもあるようです。
これまで年金危機への対応をたびたび提起していますが、今回は定年退職年齢の引き上げは避けられないと、人力資源と社会保障省が明らかにしました。中国政府がおととし発表した初の労働白書「中国の人的資源状況」によると、2035年には納税者2人で年金受給者1人を支えることになるということです。
60歳以上の高齢人口は2015年になると、2.21億人にのぼり、その比率は16%までに、そして2020年は2.55億人、17.8%に、2050年になると、労働力人口と高齢人口の比例は2000年の10対1、から2.8対1まで下がります。
中国銀行とドイツ銀行が共同で行った調査の結果が6月に公開されましたが、それによると加速する高齢化により中国の年金は2013年には18兆3000億元(約230兆円)の原資不足に陥るとみられています。
専門家によりますと、もし定年年齢を65歳まで引き上げて、年金支給の開始を遅らせれば、30%から40%の年金が節約されることができます。年金不足の問題を大いに緩和できるそうです。
高齢化に対応して、各国も定年年齢を引き上げました。アメリカは現在67歳、ドイツは今年から今までの定年年齢の65歳から67歳まで引き上げました。
とにかく、定年年齢引き上げは経済の発展に関連するほか、公平さにも関わります。定年を65歳まで延長すれば、一部の階層は満足しますが、他の階層の不満を招く恐れがあります。政策のかじ取り役は全体の利益と各地域の実情、今後の持続可能な発展を視野に入れてこそ、科学的な論証と共通認識を得ることができます。中国では高齢化が進んでいますが、一方、若者の就業問題もあって、就業圧力も大きいです。定年年齢の引き上げは慎重に行う必要があります。
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